『クラッチ板の交換』 KAWASAKIバリオスのメンテナンス

クラッチ板の交換


走行20万km弱、クラッチ滑りの症状がちょくちょく出てきた。

クラッチ板をジャンクエンジンから部品取りして交換。

滑りがなくなりました! でも切れが悪くなった…。う~ん。



※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。


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インデックス

1. 右側エンジンカバーを外す
2. クラッチのフタを外す
3. クラッチ板を外す
4. マニュアルに基づいて点検
   4-1. スプリングの ”へたり” を点検
   4-2. クラッチ板の ”摩耗” を点検
   4-3. クラッチ板の ”歪み” を点検
5. ハウジング段つき修正
6. クラッチ板を入れる
7. その後…



1. 右側エンジンカバーを外す


外し方はこちらにまとめてあるので省略します。




2. クラッチのフタを外す


フタ (正式にはクラッチオペレーティングプレート) の ボルトを10mmのレンチで外す。

スプリングが付いていますが飛び出たりすることはないので安心して。



フタの真ん中のロッドを持って外す。

その際、クラッチ板もくっ付いて来る。 板は手で引き離して、フタだけ外そう。
じゃないと板を地面に落としちゃう。

あと、ロッドのところに ベアリングが付いてるからフタは上向きで置いておこう。
じゃないとベアリングを地面に落としちゃう。



3. クラッチ板を外す


フタを外してクラッチ板が見えたら手前に引き抜くだけ。

クラッチ板は手前から、

表面ざらざらフリクションプレート、
表面すべすべクラッチプレート、
表面に小さな穴があるクラッチプレート、
  ・
  ・
  ・
上記の繰り返し、最後(一番奥)はフリクションプレート、全部で13枚です。



4. マニュアルに基づいて点検

ZXR250のマニュアルに基づいて点検してみた。


4-1. スプリングの ”へたり” を点検



規定: 33.6mm
限界: 32.6mm

22万km以上走っているが、測定は33.6mm。全然へたり無し。
4つともこの値だから、まぁ、減るもんじゃないって感じかな。



4-2. クラッチ板の ”摩耗” を点検



規定: 2.7~2.9mm
限界: 2.5mm

滑るようになって引退することになった板を一枚とって点検。計測は数箇所行う。

まず、焼けによる変色、偏摩耗が無いか目視でチェックする。異常なし。
結果はいずれも2.9mm。これも22万km以上走ったがほぼ減ってない。



4-3. クラッチ板の ”歪み” を点検



規定: 0~0.2mm
限界: 0.3mm

同じく上のフリクションプレートを点検。
水平な板の上にクラッチ板をおいてシックネスゲージを数箇所に差し込む。

計測の結果、持ってるシックネスゲージ下限の0.04mmが入るか入らないかレベル。
これも22万km以上走ってほぼ歪み無し。



5. ハウジング段つき修正


クラッチ板をはめていく前に、

ハウジングの ”クラッチ板との接触部分” に段つきがないか確認。

ひどい段つきはクラッチ板のスムーズな動きを阻害、クラッチの切れが悪くなる。

削って平らに修正した方が良いでしょう。



ジャンクエンジンから部品取りしたクラッチ板に交換後、ギアの入りが渋い。

クラッチの切れが悪い? ...この段つきが原因か? と思って修正しました。



ダイヤモンドやすり から始まり、固形ピカールでフィニッシュ。

全部で24箇所、全てピカピカの平らに修正。

しかし、ここまで磨くのはNG。
こんなに磨いたら油膜が薄くなる。返って板の動きが渋くなるかもしれない。


このまま組んで後から気付いた…。



クラッチ板の内側との接触部分も擦り減りますね。 ここもチェック。 あまり減ってないな。



6. クラッチ板を入れる


 新しく注文した クラッチ板は予めオイルを塗っておきます。  フリクションプレートはしばらくオイルに漬けて置くと良いようです。


 奥から詰めて入れるので上の方で書いた順番とは逆です。
フリクション, 穴あき, すべすべ、フリクション…の順に入れていきます。


 この時、フリクションプレートのオイル溝の向きに注意。

 オイル溝が上の写真と逆なら裏返して。
 クラッチは反時計回り、だからこの向きで組まないと余分なオイルが上手く掃き出せないんだな。




 最後に入れるフリクションプレートは引っ掛ける場所が異なる。

 ハウジングの凹の中にプレートの凸をはめて。

 実際に経験しましたが、間違うとクラッチがだいぶ滑ります。



 あとはフタにもギザギザがあるのでしっかり合わせて閉める。 ボルト締め付けて完了!

 フタが上手くはまらない時はフタとクラッチハウジングにある”丸い合わせマーク”をチェック。



7. その後…


ジャンクエンジンから持ってきたクラッチ板に交換後、

しばらくは ギアの入りが渋い状態でしたが、馴染んできたようでスムーズに なりました。

今回は結果的に問題なかったけど、

プレートの歪みがクラッチの切れの悪さに影響する らしいので中古品は注意した方が良いね。


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