AHL コンロッドメタル
積み重なる整備費を圧縮するため、中国製で"AHL"というブランドの激安コンロッドメタル を買ってみた。
ちゃんとBalius用 (ZXR250, ZR250用) として売られていたもの。 2700円弱だから純正の半値以下だ。
新品のカワサキ純正も手元にあるので両者を比べて中国製の実力を見てみよう。
※ 個人的な感想です。 参考程度にご覧ください。
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サイズラインナップが粗い
コンロッドメタル(通称、子メタル)は分間 数千~数万回転する部品の軸受けなのでそのクリアランスは非常にシビア。
日本メーカーであれば 1/1000mm単位で サイズをラインナップ するのが普通。
しかし、この中国製 子メタル の サイズラインナップは STD、+0.25mm、+0.50mm という3種。
「コンロッドを装着するクランクピンが25mmならSTD、24.75mmなら+0.25mm、24.50mmなら…」といった事らしい。
クランクピンが24.75mm以下まで摩耗することなんて普通無いから、これらは焼き付き修正したクランクピンの場合ということだろう。
と言うことは 事実上、サイズの選択肢はSTD(スタンダード)のみ となる。
もうこの辺りからして危険な匂いがぷんぷんするが購入。
梱包は純正と違い、一つの袋にまとめて入っているけど丁寧ではあった。
見た目の違い
形状は概ね同じだが、中国製は角の面取りがされていない。
切削クズもあった。メタルが金属ゴミを噛むとまずい。これはちゃんと取らないと。
切削クズも角も自分で修正すれば良いだけの話。 ダイヤモンドやすりで面取り。
実は見た目だけで言ったら 中国製の方が綺麗。
写真 上半分が 新品の純正、下半分が 中国製 だ。
純正の子メタルは新品なのにまるで中古。
重量のバラつき
新品純正、中国製すべての 重量を1/100単位で量りました。
※ 上で面取りしましたがその前に計測してます。
純正: 6.17 ~ 6.19g 差 0.02g
中国: 5.09 ~ 5.53g 差 0.44g
中国製は重量のバラつきが大きい。 分間 1万回転がざらの 高回転エンジンの部品とは思えないレベル。
重量の内訳は大まかに5.1g台×1、5.2g台×4、 5.5g台×3。 組み合わせでバランスを取るにしてもこのままでは無理がある。
メタルの厚み
プラスチゲージは使えない
子メタルをコンロッドに嵌めてみる、…キツイな。 厚みがけっこうあるかもしれない。
実際にクリアランスを計測してみる。
バリオスの「クランクピン ― 子メタル間」のクリアランスは、
規定 0.013 ~ 0.039mm サービスリミット 0.070mm。
で、プラスチゲージで測ってみると、…測れない。 よく売ってるアメリカ製プラスチゲージは測れる下限が0.025mm。
プラスチゲージの潰れて広がった幅を見ると0.025mmより狭いのは分かるが、規定値の下限 0.013mmより広いかどうかは判定不能だ。
厚みの計測方法
厚みを計測してみる。 1/1000mm単位で管理される子メタル、 マイクロメーターも1/1000mm で測れるものを購入。
子メタルは曲線なので(-)ドライバービットを噛ませる事で 擬似"ブレードマイクロメーター" にして対応する。 もちろんこれでは誤差が出やすいので計測は何度も繰り返して信頼度の高い値をとって行く。
厚みの計測
(写真は子メタルでなく純正メインメタル計測中)
厚みの計測結果、
純正 (Blackサイズ): 1.488mm×5、1.487mm×3
中国 (STDサイズ): 1.497mm×7、1.494mm×1
お、中国製も厚みはほぼ揃っている。
しかし一つだけ他より薄いものが。 その差 0.003mmだが計測時の誤差ではない。
このあと純正メインメタルも計測、マニュアルにある厚みより0.004 ~ 0.008mm薄く計測された事を考えると、
中国製 AHL 子メタル STDサイズの実際の厚みは、
1.501 ~ 1.505mm × 7
1.498 ~ 1.502mm × 1 だろう。
これは厚すぎる…。
純正の子メタル3種の厚み は下記の通り
Brown | 1.488 ~ 1.492mm |
Black | 1.492 ~ 1.496mm |
Blue | 1.496 ~ 1.500mm |
中国製 子メタルの厚みは 最も厚いBlueよりさらに一段上にあたる。 スタンダードと言うからにはBlackサイズと同じにすべきだろうに。
まとめ
「中国製 AHL コンロッドメタル STDサイズ」まとめ
外観 | 綺麗。わずかな小傷有。 |
重量 | 軽い。重量バラバラ。 |
厚み | 厚すぎる。 |
価格 | 品質を考えると安くない。 |
買ってはみたけど使うのやめた。
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