折れた鍵
ある日、給油しようと鍵を回したら『にゅるんっ』とねじれるように千切れた…。
”元鍵” の取り寄せは簡単ネット注文、とは行かない...
だから自分で作ってみた。
※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。
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0. 自作することにした経緯
"折れた鍵"からお店で作ってもらったのが右の"合鍵"。一時しのぎならこれで十分。
「折れた鍵からでは保障できない」との事だったが、ハンドルロックを除いてはちゃんと使える状態に仕上がってました。
そのお店で、「番号から"元鍵"を注文できるから、折れた鍵は捨てないでね」と教えてもらったので
調べてみたんだけど気軽にネット注文とは行かないみたい。 バイク屋さんに頼んでメーカーから取り寄せという形になるようで。
しかし、、、
「元鍵の注文は防犯上の理由から手続きが面倒でバイク屋さんが嫌がる」
なんて話もあって何だか頼みづらい雰囲気…。
いっそ納得の行く鍵を自分で作ってしまおうと挑戦してみることに。
1. ブランクキー注文
カワサキの鍵を注文。
厳密には、「カワサキの商標を勝手に使っている鍵」だな。たぶん…。
こういった 山の無い状態の鍵をブランクキー と言います。
失敗もありえるので3つ注文。
2. 合鍵の自作
2-1. 型取り
鍵の形をコピーする。
紙の下に鍵を置いて、鉛筆でこすると形がコピーできる。
上でコピーした形状をデザインナイフで切り抜いて、ブランクキーにボンドで貼り付ける。
コピー元の鍵は摩耗で先端が減っている事がある。
貼り付ける際に位置合わせすべきは先端ではなく、後ろの段の部分。 (写真矢印)
2-2. 使用ツール
何で削ろうかとダイソーを回っていたら良さそうなものを発見、
小さなディスク全体がダイヤモンドやすりになっているリューター用のカッター。
リューターは持ってないので、スピードコントローラーで回転を落としたドリルを使用する。
2-3. 鍵を削る
では、ブランクキーを削っていきます。
「ちゃんと削れるのか?」と心配していましたが、削れる! 面白いように削れる。
あまり硬すぎても折れてしまうからこの硬度なんだろうな。たぶん。
削れ過ぎることも無く、作業自体は何ら難しくありません。
こんな感じで片側に山を再現できました。
山が片側にしかない状態ですがこれでも使えます。
このあとコピー元の鍵とよく見比べて細部も丁寧に削り、
メットホルダーに入れてまわしてみた所、見事に開きました!
素人でも何とかなるもんだ。
気を良くしてもう片側も削る。
3. 完成した合鍵
3-1. 仕上げを経て完成
ひとまず完成したんだけど、
イグニッションはONに出来るがどうも動きが渋い…。 タンクキャップなんか全く開かない…。
もう一度、よく元の鍵を観察して仕上げの削り...んで、なんとか完成!
3-2. 使えるかチェック
使えるかチェックしてみた。
イグニッションON。
ハンドルロックを自在にかけられるなんてもう10年ぶりぐらいだろう…。
タンクキャップも開くようになりました。
ちょっと削り過ぎたのか、手前に引きながら回すというコツがいるけど、不便は無いからOK。
シートは以前の鍵よりスムーズに。
3-3. 作ってみて
とうてい精密とは言えない出来にも関わらず、失敗も無くちゃんと使えるものが出来上がりました。
山や溝の形はけっこうラフでも良いんだけど、高さなんかはちょっと削るだけで動きに違いが出たり。
ラフでも構わない部分と精密に仕上げるべき部分とが混在しているように感じました。
4. その後、くわしく調べてみた
4-1. 谷の部分が大事
後日ちょっと鍵に興味を持って調べてみた。
鍵の合う合わないは、どうやら 鍵山の "谷" の高さで決まるようだ。
この谷の部分に鍵の中のピンが来て、それが決まった高さになるとシリンダーは回る仕組みになっている。 山の部分はこのピンをスムーズに持ち上げるための役割に過ぎないみたい。
4-2. ピッキング注意
ピッキングツールを買ってみました。 安物の南京錠に使ってみるとものの数十秒で開いちゃいます。
鍵の中のピンは3つしかないし、何より 精度の粗い鍵は簡単に開けられます。
精度の高い鍵はピンを同時に決まった高さに持ち上げないと開きませんが粗いものはピンを個々に攻略できちゃうんです。
こちら カワサキBALIUS 純正のメットホルダー。
これも精度が粗く、数十秒のピッキングで開いちゃいました。
ピッキングツールなんて今の時代、家に居ながらにして買える千円程度のおもちゃです。 おもちゃのような鍵はおもちゃのツールで簡単に開いてしまいます。 盗難には気を付けよう。