『カウルの割れ・ヒビ補修』 KAWASAKIバリオスのメンテナンス


カウルの割れ・ヒビ補修


10万円も入れた財布を落とし焦っていた。

車体を切り替えした時に「バキンッ!」 自宅の塀にテールをぶつけた。

自宅に忘れたんじゃないか、と戻ってはみたが財布は無いし、テールは壊すし…。



※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。


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0. 破損状況


 結局、落とした財布は警察に届いていて翌日には無傷で受け取れた。しかも報労金(5~20%)を辞退するとか男前すぎる...。




 さて、バリオスをぶつけるのはこれで2度目。 落ち着いて見てみると、

  欠けて出来た、 割れて出来たヒビ、 劣化による塗装の剥げ はだいぶ派手に…。








 まずは程度の良いカウル(厳密にはシートカバー)を ヤフオクで探すも、似たり寄ったりのボロばかり。

 まだ自分のがマシかも...という事で、補修して元に戻すことに決定。

 参考にしたのは ”ソフト99の補修のコツ”。 割れ・欠け補修の方法は載ってないけどためになる。



1. 欠けた部分の補修


欠け 復元

欠けた部分はパテで復元する。


 パテはこねると粘土状になり、時間の経過とともに硬化する。



パテを欠けた部分にぺたぺた。 ちょっと盛り気味に。 整形はあとで。

 この部分は中央シートカバーと重なる所だから内部にパテを厚盛りすると干渉する。 後からドリルで削るの大変でした。




2. ヒビ部分の補修

 ヒビは接着、裏から補強する。 表面の凹凸はバンパーパテで整える。

2-1. ヒビを補強


 ああ、ステッカーの下までヒビが…。仕方がないので剥がすことに。

 このステッカー、柔かいビニールのような素材。

 綺麗に剥がしてまた張りなおそうと思ったけど、伸びたり破れたりで再使用は不可。 2019年現在、供給も終了している。別のステッカーを探そう。



ヒビの隙間にアロンアルファを流し込み接着。 裏にパテをつけて補強は完了。


 追記:
 上記のような補強ではヒビが動き塗装も割れてくる。
 プラ溶接や裏から金属のステーで補強するなどより徹底した対策を。



2-2. 表面をヤスリ掛け


 手引書どおりなら、
使用するヤスリは耐水ペーパー150番。 研磨パッドにヤスリを巻いてシュコシュコ。

 マスキングしちゃったけどしなくてOK。

 写真の通りヤスリで塗装を剥いだ。このヤスリ掛けによって荒れすぎた部分は落ち着き、次のパテ付けの密着性がアップする。



 パテで復元した部分も同様にヤスリ掛け、形を整えた。



 ちなみに私は手引書どおりではなく、"空研ぎペーパー240番" を "硬めのスポンジ" に巻いて使用。 硬めのスポンジはホムセンで緩衝材として安く売ってる。 研磨パッドに比べると軟らかいけど使える。




・サンドペーパー用 研磨パッド
無くても出来なくはないけど。



2-3. ヒビをパテ埋め


 ヒビをパテで補修する。その前に、
補修する部分を脱脂し、
パテの密着性を高めるためソフト99 バンパープライマーを吹きかけておく。

 私は脱脂にシリコンオフ(amazon)でなく"パーツクリーナー"。

 下地には"プラスチックプライマー"を吹き付けた。 ソフト99 バンパープライマー(amazon)と成分はたぶん同じ。どちらも樹脂への塗料の密着を高める下塗り塗料。




 これがソフト99のバンパーパテ(amazon)。2液を1:1で混ぜ合わせる。

 程よい硬さ、滑らかさ。 作業性はかなり良さそう。 しかし 硬化時間20分と結構早い。 作業は滑らかなうちにささっとやろう。



バンパーパテを付属のへらでヒビの部分に”盛る”。

 やっぱり伸びがよく作業しやすいわ。

 パテはへらでしっかりこそぎ取らず、「ちょっと盛りすぎか?」と思うくらいがちょうど良いです。

 このパテは乾くと少し痩せます。埋めたつもりのヒビはパテが乾くとまた凹んで見えてしまう、盛り直したのが上の写真。 ヤスリの番手にもよりますが削るのは簡単です。




 手引書どおりなら、
乾いたパテを研磨パッドに巻いた "耐水ペーパーの320番"で研磨、平滑に。 さらに"600番" で研磨、表面を慣らす。

 私は、"空研ぎペーパー240番" → "耐水800番" で平滑にしました。

 このパテはきめが細かいので研磨も安心感がある。粗いとボロッと取れてえぐれたりするからね。 研磨もおおむね済んだら触って確認、周囲と一体となってスベスベ。 これでヒビ埋め完了!




・バンパーパテ
きめ細かく使いやすい。





3. 塗装する

表面は整った。 あとは塗装だ。

3-1. 下塗り (プラサフ)


 プラサフは小さな凹凸を埋め、上塗りの密着を強める役割があります。



 そのプラサフの前にまず、
塗装する部分を脱脂し、 ソフト99バンパープライマーを吹きかける。

 例のごとく、私はパーツクリーナーとプラスチックプライマーを使用。




 で、プラサフを吹きました。 上塗りは黒だからプラサフはグレーがベター。白でも特に問題無いけど。


 あとは周辺の塗装と平滑になるように研磨するのだが、ある間違いを犯してる… ↓



3-2. 正しいマスキング




 間違っているのは ”マスキング”。



 本来は、
 塗装(補修)する箇所の周囲に余裕をもってマスキングする。




 余裕の無いマスキングで塗装すると、塗装した部分と周辺の塗装面に極端な段差ができてしまう。 これを周辺の塗装面と段差が無くなるように研磨するわけだがこれが難しい。いつまでもシュコシュコしてると削らなくていい部分が削れてしまう。

 補修箇所の周囲に余裕を持ってマスキングをすれば塗料の裾野はなだらかになる。 これなら周辺塗装と平滑にするのは難しくない。




3-3. 下塗りを平滑に


 さて手引書どおり、

研磨パッドに巻いた耐水ペーパー1000番でプラサフを研磨。 周辺の塗装との段差を無くす。

 マスキングは狭すぎたが、プラサフは上塗り塗料ほど硬くないし、薄めに吹いたので大事には至らなかった。ちょっと研磨しすぎて剥げたな…。



 その後、これまた手引書どおり、

補修箇所の周辺の塗装面を1ミクロンのコンパウンドでクリーニング。


3-4. 上塗り塗装


再び脱脂し、純正色のスプレーで上塗りする。

 って、上塗りがはじかれてんぞ……。
 プラサフが少し剥げたからプラスチックプライマーを吹いたんだけどそれがムラになったせいだな。



 薄めに吹いて、乾いてはまたスプレーの繰り返し。

 "塗料のはじき"はそのまま塗り重ねて押し切った。




 純正色が乾いたら、クリアをスプレーして仕上げる。

 パール、メタリック、マイカ系 (ラメのようなキラキラが入った塗料) はクリア塗装が必要になる。


 使用したクリアは200円の格安スプレー...。 手元にこれしかなかったから…。
 塗料の質もピンキリ、なるべく"高耐久"などと謳っているものをお勧めしたい。 艶、耐久性ともに優れるのがウレタンスプレー。塗料の専門店を見てみるとこれも実はピンキリなんだな。


 このクリアも薄めに吹いて、乾いてはまたスプレーの繰り返し。


 今思えば風呂場で塗装すればよかったも。
 クリアで艶が出てくる分、塗装面に着くホコリがすごく目立って気になる。 そのホコリを取ろうとすると返って汚れるし…。 風呂場なら換気扇はあるし、事前にシャワーで舞い上がる埃を抑えられる。






4. 艶出し 研磨



 1週間待ってクリアが完全に乾いたらコンパウンドで磨く。

 車のバンパーなら1ミクロン程度の"細目"で磨いて完成でいいんじゃないだろうか。



 黒いバイクのボディーとなると1ミクロンで、とは行くまい。まして下手な塗装をやらかしてるし。

 んで結局全体を塗装することにした中央シートカバーを耐水2000番をパッドに巻いてなでてみたが写真の通り、表面には細かな凹凸が多数存在しているのが分かる。

 この後、安物のクリア層が禿げてしまわないかと必要以上にビビリながら、ほどほどに研磨。 布に付けた50ミクロンのコンパウンドで優しくなで、7、3、2、1、0.5ミクロン...と磨いて、



ワックスを掛けて補修完了!







5. 補修で元通りに


5-1. 破損部分





 何事も無かったかのように元通り。 バンパーパテすごいな。

 実際は研磨が甘いのでやりすぎたクリアの垂れやら何やらがあるけど顔を数十センチまで近づけなければ分からない。 これでも 中古で購入した時より綺麗になってる。



5-2. 実は日産のカラー


 今回使用したのは ”日産ブラックメタリック”。

 バリオスのブラックパールは何故かスプレー塗料が売ってないから。




 川崎ブラックパールと日産ブラックMの境目が分かるだろうか?

 左右のシートカバーはせり上がりの周辺、中央のシートカバーは全体を日産カラーで塗装してる。

 ブラックMはシルバーのラメが多く、写真の通り光の角度によって少し灰色っぽく見えるが、言わなきゃバレないレベル。



5-3. 安物クリアスプレーの艶



 中央シートカバーは全体を200円の安物クリアスプレーで塗装したけど艶は十分。

 左右シートカバー、純正はウレタン塗料だろうけど艶に遜色ないのは写真の通り。 クリア層の厚みが放つ美しさでは見劣りするかな。薄塗りを繰り返せば安物でも十分な厚みを出せただろうが…、そこまでこだわる塗装なら良いウレタンを使うべきだな。





6. 失敗ポイント




 この際、誤魔化し切れなかった 塗料のはじき、研磨の甘さ はどうでも良い。これは今からでも修正できる。

 そんなことより、走行後よく見ると薄っすらヒビが入っている。



 ” 破損による細いヒビ ” は接着剤を流し込むのも難しく、甘く見てパテ補強も怠りがち。 実は一番注意が必要な箇所 なんだな。

 リスクはあるがホッチキスの針を埋め込むプラスチック溶接、または金属ステー、パテや粘土で埋めて"たわまないよう"押さえるべし。






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