CBR250R用のYSSサス流用 (バリオス)
YSS 「GAS DTG」(※) なら純正サスをOHするより安く済む。
純正とサイズの異なるCBR250R用をバリオスに。
※ 以下、単にYSSサス等と言う場合、この「GAS DTG」。
(YSSでは機能の高い方から、RACING、TOPライン、ECOライン、GAS DTGと4つのカテに分かれる。)
※ 個人的な感想です。 参考程度にご覧ください。
インデックス
0. yssについて
1. サイズの違いで隙間が出来る
2. 対策して取り付ける
2-1. ボルト、ナットはM10サイズ
2-2. サス上部の隙間 → スペーサーで
2-3. コの字の隙間 → 他車種スリーブで
3. 使用感、かたい?やらかい?
3-1. サスの沈み込み
3-2. 走ってみた感じ
3-3. 実はスポーツ走行に不向き
4. その他のYSSサス まとめ (バリオスI/II 用)
4-1. YSS バリオス
4-2. YSS バリオス2
4-3. 構造によるスポーツ向き、ストリート向き まとめ
0. yssについて
yssは1983年設立、東南アジアはタイのサスメーカー。
はっきり言ってブランドイメージはいまいち。手軽な価格帯からラインナップしているせいか安モノのイメージが付きやすいかもしれない。
しかしローカルなレースはもちろんの事、WSS300(※)においてもサスを供給し、実績を上げている。
日本には研究開発センターを持ち、アジアよりむしろ欧州に多くの代理店や拠点を持つ世界的サスメーカー。
※ スーパーバイク世界選手権(WSB)への登竜門となるレースがWSS300。
1. CBR250R用のYSS と バリオス純正の違い
一番安いモデル、GAS DTG の『CBR250R用』を購入。
だってGAS DTGにバリオス用は存在しないから。
ポン付け出来るよね、と思ったら無理…。
(サイズ等はページ下部にまとめてあります。)
「CBR250R用 と バリオス純正」
▽ サイズの違い
まぁOKサイズ:
・取付長がちょっと長い。しかし取り付けに問題なし。
(YSS:295mm、純正:285mm)
NGサイズ:
・使用するボルト径が小さい。
(YSS:M10、純正:M12)
・サス下部のコの字部分の幅が広い。
(YSS:33mm、純正:28mm)
↓
取り付け部分に ”隙間” が生じる。
隙間がズレ、緩み、破損の原因にならないとは言い切れない。
なるべく、純正と同じように無理なく取り付けたい。
・プリロード調整のしやすさ
YSS:不便すぎ / 純正:簡単
YSSは位置、作りからして車体に装着した状態でのプリ調整は不可。
その目盛りはスカートで隠れているから確認も容易ではない。また、山の作りが粗いので調整に力が要る。
(上の写真の通り。グラインダーで修正したった。)
・バネレート
YSS:115N/mm / 純正:約80N/mm
バネはCBR250R用YSSの方が硬め。
ちなみに純正バネのYSSへの取り付けは不可。自由長、内径が異なるため。
・プリロードの強・弱
YSS:弱め / 純正:強め
YSSはバネをプリロードで約93%~89%に、純正はバネを約88%~80%に縮めて使用する。純正の方がより縮めて使用する。
・バネ変更のしやすさ
YSS:簡単 / 純正:面倒
YSSはバネを縮め、上部の緩んだリテーナー1枚をするっと抜き取るだけで分解できる。 様々なレートのバネが7,8千円程度でラインナップされている。
・プリロード調整レンジ
YSS:狭い / 純正:広い
プリ調整はどちらも7段階だが一段の高さが違う。YSSは一段の高さが約0.8mm、純正は約1.7mm。 つまりYSSは純正に比べ調整による変化は乏しいが、より細かい調整が可能。
2. 対策して取り付ける
2-1. ボルト、ナットはM10サイズ
では、サイズの違いを何とかして取り付ける。まずボルト類から用意し直さないと。
・M10緩み止めナット(Uナット)
(ボルト/ナットがフランジ付きでない場合は緩み防止のためM10ワッシャー)
上記を1つの組として2組用意。
ボルト首下は55mmでもOKだがワッシャー2枚通しても余る。60mm以上では干渉の恐れ。
2-2. サス上部の隙間 → スペーサーで
では、サス上部に生じる隙間。
M10ボルトそのままでは隙間が生じてサスがズレかねないので...
↓対策
ワッシャーの長さに注意:
はめ込む車体フレームは厚み4.5mmなので、スペーサーの長さが4.5mm超えると干渉する。
しかし、長さ4.5mm以下のM10スペーサーなんて無いんだな。
削って用意するか、モノタロウには長さ5mmからM10スペーサーがあるので、それとM12ワッシャーを使用する、など。
2-3. コの字の隙間 → 他車種スリーブで
続いて、サス下部に生じる隙間。
CBR250R用の 'コの字' は純正より幅広。両サイドからそのままボルト、ナットで締め付けるとコの字は大きくひしゃげて破損の原因になるかも。
また、純正スリーブの内径は12.1mm。その中を通るボルトが10mmでは隙間が生じ、ズレかねない。
↓ 対策
バルカンSのスリーブなら、
・外径18mmは純正と同じ。
・内径10.1mmはM10ボルト使用が前提。
・長さ32mmはYSSのコの字幅33mmと大差ない。
サス交換の方法はこちら↓
関連:リアサス(モノサス)交換 (1/2)
3. 使用感、かたい?やらかい?
3-1. サスの沈み込み
バネの硬さを警戒し、”プリロード最弱” で取り付けてみた。
適切なプリロードのあり方(サグ調整の方法)についてはYSSサスの取説にあります。
とりあえず硬いって感じは無いな。
3-2. 走ってみた感じ
抜けた純正サスとの比較になりますが、
・衝撃がマイルド
路面の細かな凹凸にしっかり追従するから微振動が消える。刺々しかった振動がマイルドになって驚いた。
・適度なハリがある
急停止でもフワ付かず路面に吸い付くように止まる感覚が気持ちいい。今思えば交換前は不快でした。
・ケツの痛み解消
長距離で痛み出すケツ。シートの劣化が原因と思っていたけどサスのせいでした。
その他、
純正より硬めのバネに関しては、悪い印象なし。むしろ、上にちらっと書きましたが純正ほどプリロードを掛けられないのでちょっと硬めがちょうど良いのかも。
見た目に関しては、純正より1cm長く、フレッシュなのでスタンド停車時にテールがシャキっと立って凛々しく感じます。
まとめると、
全体的にとても乗り心地良く、飛ばしてもガサツに暴れる感じがなくなり安心感がアップ!
どうしても一般道は状況が多様だから場面によって「もっと硬ければ/柔らかければ」って不満は避けられないけど。
3-3. 実はスポーツ走行に不向き
このYSSのGAS DTG、内部構造が ”ツインチューブ”。
バリオス含む、多くのスポーツバイクはよりスポーティーな倒立式のモノチューブを純正採用するのが一般的。
ツインチューブはストリート走行では路面追従性に優れるが、シビアな走行では減衰力が不安定に、
…って、そんな事が問題になるのはサーキットだけらしい。
また、その構造上、倒立させる事のできないツインチューブは剛性にも劣るはずだが、100km/h前後の走行では困り事や違和感もない。
ツインチューブでも普通にキビキビ走れます。 劣化した純正サスに比べればよっぽどスポーティーなので。
4. その他のYSSサス まとめ (バリオスI/II 用)
4-1. YSS バリオス
▽ カワサキ純正 バリオス用モノサス△ バリオス用 45014-1579 ¥40,700 |
取付長:285 上部:穴12/幅30 下部:穴12/幅28 (mm) バネレート: 80N/mm |
構造: モノチューブ (ド・カルボン式?) 調整機能: 7段階プリロード |
高圧窒素ガス封入。 日本製。 (KYB? SHOWA?) カワサキでは販売終了だが結局どっかのOEMだろう。今も製造されてるのかamazon等で普通に買える。 |
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▼ YSSのバリオス用モノサス & 他車種からの流用候補
△ バリオス用 MZ366-??-?? ¥46,000 |
(詳細無いため推測) 取付長:280 上部:穴12/幅30 下部:穴12/幅28 (mm) バネレート: 80N/mm |
カテゴリー: TOP LINE 構造: モノチューブ (エマルジョン式) 調整機能: プリ無段階調整 伸び側減衰力調整 |
YSS JAPANの車種別ラインナップにバリオス用とあるがサイズ詳細不明。タイには無いモデルだがMZだからTOP LINEのカテ。 |
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△ バリオス用 ME302-280T-23 ¥19,500 |
取付長:280 上部:穴12/幅30 下部:穴12/幅28 (mm) バネレート: 85N/mm |
カテゴリー: ECO LINE 構造: モノチューブ (エマルジョン式) 調整機能: プリ無段階調整 |
バリオス用。YSS JAPANでは取り扱い無し。YSS(タイ)のモデル。 |
△ ニンジャ250用 MB302-320P-13 ¥9,180 |
取付長:320 上部:穴12/幅30 下部:穴12/幅28 (mm) バネレート: 80N/mm |
カテゴリー: GAS DTG 構造: ツインチューブ 調整機能: プリ7段階調整 |
下部取付幅の広さは要加工、要工夫。長いから少しケツが上がるらしい。 |
△ CBR250R用 MB302-295P-14 ¥9,180 |
取付長:295 上部:穴10/幅30 下部:穴10/幅33 (mm) バネレート: 115N/mm |
カテゴリー: GAS DTG 構造: ツインチューブ 調整機能: プリ7段階調整 |
今回取り付けた物。純正より小さいボルト径、下部取付幅の広さは要加工、要工夫。 |
・ YSS と YSS JAPAN は同じじゃない!
YSS JAPAN は本国(タイ)のYSSより高級路線で、おのずとラインナップも少なめ。今回取り付けたGAS DTG(MB302)、ECO LINE(ME302)も日本では取り扱いの無いモデル。
ゆえにYSSのそれらは平行輸入品としてAmazonなどで購入することになる。
4-2. YSS バリオス2
・ バリオス2でYSSにする意味ある?
日本においてはクラシックスタイルを除いては、ツインサスはリザーブ付きじゃないと失笑もん。となると最低でもG362 (8万円)。
それなら純正SHOWAサスをOHしてもらった方が安いだろうし、ブランド力も維持できる。
調整機能の豊富さで言えばYSSのGシリーズの方がきっと上。外装への干渉をクリアしなければいけないようだが。
バリ2のyssサスは ヒロチー商事 (楽天市場) でいろいろ購入できる。
YSS JAPAN (PMC.Inc)のショッピングサイトは当てにならない。目的の物を探しても見つからないこと多々あり。小売りに消極的?
4-3. 構造によるスポーツ向き、ストリート向き まとめ
〇 モノチューブ → よりスポーツ指向
内部が単一。高圧の窒素ガス入。
・長所:シビアな走行でも減衰力が安定する。
・短所:ストリートでの乗り心地はより劣る。高コスト。
モノチューブはさらにド・カルボン式 と エマルジョン式 に分かれる。
・前者はオイルとガスが混ざらず減衰力が安定
→ スポーツ指向。
・後者はオイルとガスが混ざるがよりスムーズ
→ ストリート指向。
〇 ツインチューブ → よりストリート指向
内部が二重。より低圧の窒素ガス入。
・長所:ストリートでの乗り心地に優れる。低コスト。
・短所:シビアな走行では減衰力が不安定になる。
〇 ピストン径、ロッド径について
yssはモデル名の頭三桁(または四桁)がピストン径とロッド径を示す。ME302-***…
上二桁が内部のピストン径を示す。ME302なら30mm。X362なら36mm。
・ピストン径は大きい方がより細かな減衰力の調整が可能になる。
残る下の桁がロッド径を示す。ME302なら12mm。G366なら16mm。
・ロッド径は太い方が剛性は高いが、ロッド体積が増える分、内部オイル量は減り、内部容積の変化が大きくなることで減衰力、もしくは乗り心地にネガな影響を及ぼす。
画像、データ参考元、
YSS JAPAN、
YSS (タイ)