「冷却水の交換」
冷却水はエンジンから熱を奪って、ラジエーターまで持っていくのが仕事。 ラジエーターは大気中に熱を発散します。
2年ぐらいで交換 って言われてるけど…、ま、忘れたころにでも交換しましょう。
別の整備で抜き入れが必要になることもありますね。めんどくさ~。
※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。
1. 燃料タンクを外す
2. ラジエーターキャップを開ける
作業前に、エンジンが冷めていることを確認!
エンジンが熱いと冷却水がブシャー!っと噴き出す! いや~あん時は焦ったな。
さて、燃料タンク下、車体右にあるのが ラジエーターキャップ。
普通に回して開けるだけ。
キャップは安全のため二段階になっていて回していくと途中で止まる。
回らなくなったら押し込みながら回して開けよう。
2. 冷却水を抜く
冷却水排出のため、車体左下部の ウォーターポンプカバーにあるドレンボルトを外します。 8mmのレンチで。
なぜか横向きに付いてるドレンのせいで 横に勢い良くピュー! と飛び出します。
(写真はまだラジエーターキャップを外していない状態なので勢い弱いが。)
抜けました。 出てくる量は 1リットル弱。
冷却水ホースをモミモミするとまだ抜け切っていない冷却水がいくらか出てきます。
それでもラジエーターやシリンダー周辺にはいくらか残りますが元々完全には抜けないので気にせず。
抜いたらドレンボルトを締める。
パッキンは潰れてるようなら交換。 よくあるワッシャーでOK。 内径6mm、外径11mm。
3. 冷却水を入れる
冷却水を入れます。 これはそのまま使えるタイプですが 薄めるタイプのほうがお得 です。
ラジエーターキャップを外したところが注ぎ口。 漏斗を使います。
写真では慎重すぎますが、コップにジュースを注ぐように調子よく入れていくと、
途中、入るより先にあふれてこぼす事になります…。 ゆっくり注ぎましょう。
冷却水が入っていかなくなったらエア抜きです。
4. エア抜き
サイドスタンドで立っているのでシリンダーの右側に空気が残ってしまいます。これを抜きます。
車体右、シリンダーヘッドにあるバンジョーボルトを8mmのレンチで緩めます。
ティッシュ等をあてがい、1回転も緩めれば大丈夫かな。ジュ~とエアが抜ける音がします。
冷却水しか出てこなくなったら ボルトを締め直して エア抜き完了!
(ここのボルトもパッキンを使ってます。 潰れているなら冷却水を入れる前に外して交換が望ましい。ワッシャー内径6mm 外径11mm。)
余談ですが、バンジョーボルトを強く締めすぎたら”グニャ”、ねじ切れて、冷却水どぴゅーーー!
ヘッドの奥に残ったボルトはエキストラクター …は持っていないので、三角形のダイヤモンドやすりを突っ込んで回したら取り除けた。
とりあえずM6のボルトで塞いでおけばOK。 中空のバンジョーボルトは脆いので締めすぎ注意。
完璧なエア抜き
上のエア抜きをしても経路内にはいくらかエアが残ります。
完璧にやるなら、
1. エンジンを掛けて暖める。
2. 注ぎ口からエアが抜けていくので冷却水を注ぐ。
3. 最後にヘッドのバンジョーを緩めてエア抜き。
って感じかな?
でも経験上、エンジンを掛けてのエア抜きは必要ないです。
交換後すぐにレースをするとか、高速道路を走るような場合はわかりませんが、 ちょっと飛ばしたぐらいで問題が起きるほどシビアではありません。
走っているうちに エアは圧力とともに勝手に押し出され、抜けた分は冷却水が補充されます。
騒音とCO2の排出、燃料と時間の浪費というデメリットを考えるとやらない方がよろしいかと。
5. 冷却水を継ぎ足してキャップを締める
エアを抜いた分、水面が下がりますから再び冷却水を注ぐ。
仕組みを考えると多分なみなみと注ぐのがベストでしょう。
こぼしたくないならキャップの下に空気が入らない程度(写真右)でOK。
んでラジエーターキャップを締める。
6. リザーブタンクをチェックして完了
最後に リザーブタンクの容量をチェック。
(タンクの場所はⅠはシート下、車体右後方。 Ⅱは右側サイトカバーの下??)
"L"の少し上ぐらいで十分。それ以上入れても走行中にこぼれるだけ。
タンクのキャップを外して冷却水を補充。リザーブタンクは時々チェック。
冷却水の廃棄
そのまま下水に流すのはNG。 何かに染み込ませて燃えるごみへ。吸水ポリマーが良いかな。
あるいは燃やせば無害化されるらしい。 冷却水の有害な成分であるエチレングリコールはアルコールの仲間。 火が付くのかな?
冷却水の圧力調整の仕組み
冷却力を高める、維持する
冷却水はエンジンの熱で膨張、密閉されているので加圧され、沸点が120℃ぐらいまで上がります。 加圧しない沸点100℃の状態より、熱を運搬する潜在能力が20%高まるってわけです。
当然エンジンの熱は上下するので 圧力も上下します。 圧力が一定の範囲に収まるよう ラジエーターキャップの2つの弁によって調整、維持されます。
1. 加圧弁
経路内を密閉し、一定のところまで加圧するのが加圧弁。
エンジンの熱で冷却水の 圧が高くなりすぎると、圧力弁のバネを押しのけて、リザーブタンクに流れ込む仕組み。
上で「エアは圧力とともに勝手に押し出され…」と書きましたが、この仕組みによるものです。
キャップ(弁)は一番高い所にあるので経路内を巡ったエアはそこに溜まり、熱で膨張、弁が開きリザーブに押し出されます。
2. 負圧弁
低くなり過ぎた圧を戻すのが負圧弁。
エンジンの熱が下がり、圧力の低下で 負圧が生じると 負圧弁が開いて 冷却水がリザーブタンクから補充される 仕組み。