キャブレター 同調の調整
バタフライバルブの開度をエンジンの負圧で揃えるのが同調。
エンジンのスムーズな回転を目指す。
長々アイドリング、空吹かす事になるから 迷惑にならないようにひっそりやろう。
今回は運動公園の ”捨てられたテニスコート”で作業。立ち入り禁止でなかったので片隅で。
※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。
0. 用意するもの、作業概要
0-1. 用意する工具
1. バキュームゲージ(負圧計) (必須)
本当は4連バキュームゲージがベストだけど1個だけでもOKだ。 作り方 こっち 。
2. (+)ドライバー (必須)
これでバルブ開度調整ネジを回す。 作業スペースが狭いので柄の短いものを。
3. (-)ドライバー、ペンチ
負圧ホース外し用。 狭いし、抜けづらいからペンチで引っ張ったり、(-)ドライバーでこじる。
4. ブレーキパッドとか
車体を垂直に立てる用。 これをスタンドの下において垂直に起こして作業する。
5. 手袋 (必須)
エンジン熱いから。 あと長袖、またはタオルで腕も守って。
0-2. 作業の概要
○ やること:
ネジでバルブ開度を調整し、バキュームゲージの計測値を揃えていく。
○ 仕組み:
それぞれのネジは隣り合うバルブの開閉具合を決める。
語弊があるけど簡単に言うと、一方のバルブを開くともう一方は閉じる構造。
○ 作業の流れ:
1. まず、端から。 #1 と #2 を調整。
2. もう一方の端。 #3 と #4 を調整。
3. 最後、真ん中。 ここは#2と#3ではなく、(#1,#2) と (#3,#4) の調整になります。
これで、(#1 = #2) = (#3 = #4) 。 全て同じ値に。
1. ゲージ装着などの準備
1-0.あらかじめの作業
パイロットスクリューの戻し量は統一しておく。 あと 暖機。
1-1. バキュームゲージ装着
バキュームゲージを繋げる場所は、負圧ホースの所。
キャブ直下、キャブホルダーの負圧ホースを全4ヶ所はずす。
ホースはきつく装着されてる。ペンチで引っ張って、隙間が出来たら(-)ドライバーでこじって。
外れたらシリコンススプレーで潤滑、これで装着がスムーズになる。
負圧ホースを外した4ヶ所に バキュームゲージのホースを接続。
こんな感じでバキュームゲージを装着!
車種によっては燃料タンクを外さないと出来ないみたいだけどバリオスは付けたままでOK。
だから ガソリンサブタンクなんかは必要なしだ。
1-2. フューエルコックPRI
フューエルコックをPRIに。
これでフューエルコックに負圧が伝わらなくても燃料がキャブに流れ続ける。
2. エンジンスタート
2-1. 車体は垂直で
スタンドの下にパッドでも敷いて 車体は垂直に立てる。
まだちょっと斜めだけど誤差ってことで。
では、エンジンスタート。
作業中エンストしないよう アイドリングはちょっと高めに。
2-2. ゲージの針を安定させる
エンジンを掛けるとゲージの針は暴れる。
ゲージ直下のコックを絞り込んで針を安定させよう。
3. #1と#2の同調 (取るまでもなく揃ってた)
同調を取っていきます。 #1, #2の方から作業しますか。
3-1. 大元のコック操作
ゲージ直下、
左側のコック、(#1,#2)側は水平にして開く。
右側のコック、(#3,#4)側はひねって閉じておく。
そしたら次にいじるのは末端のコック。 ↓
3-2. 末端のコック操作
末端のコックで#1, #2、それぞれの経路を交互に開閉、負圧ゲージの値をチェック。
事前に#1~4の開度を目視で揃えている場合は、値に大きな差は出ません。
だから、「ここだけあまりにも低い」 なんて場合は、"二次エア吸ってる" かも、 または "圧縮に問題がある" かも…。
3-3. ゲージの値が揃ってた
負圧ゲージの値をチェックすると#1,#2は同じ値。
同調を取るまでもなく揃ってた。
ここはノータッチでOK。 次の#3,#4へ。
4. #3と#4の同調を取る
4-1. 負圧にバラつきあり
今度は 大元コック(#1,#2)Close、(#3,#4)Open、 末端コック#3,#4 交互に切り替えてチェック。
#3, #4は負圧ゲージの値に差があった、同調を取ります。
4-2. 同調を調整する
1. 調整ネジに柄の短い(+)ドライバーを突っ込む。
・調整ネジは各々が担当するキャブの間にある。写真は#3,#4の調整ネジ。ちゃんと目視できます。
・あまりプラグキャップを強引にかき分けないようにね。感電するよ。
2. 調整ネジを右か左か適当に回す。
・一気に大きく回さず、アナログ時計で言うと5分、10分ぐらいの量を一回分の目安に。
・調整ネジを押し込むとバルブが開いて吹け上がる、 吹け上がったまま戻らない時はスロットルを軽くスナップ。
・一旦エンジン切ってからネジを回しても良いよ。その方が静か、ネジ回しに集中できる。
3. 末端のコックを切り替えてゲージの値をチェック。 それぞれが同じ値になればOK。
#3,#4の同調が取れた。 写真だとちょっとズレて見えるけど撮影の問題。
5. (#1,#2)と(#3,#4)の同調を取る
最後は(#1,#2) と (#3,#4)の調整。
末端のコックは全開、 大元のコックを交互に開閉して、(#1,#2) と (#3,#4) の負圧をチェック。
(#1,#2)、(#3,#4)の負圧ゲージの値。 値に差があるので同調の調整をする。
調整ネジはキャブ2番、3番の間。 調整方法は同様です。
ほぼ揃いました。
(#1 = #2) = (#3 = #4) に。
これでキャブの同調は完了!!
6. 負圧計を使った同調は意味がない!?
6-1. 異論
この 負圧計を使った同調の作業に異を唱えるバイク屋さんが...。
以下原文まま
理由を説明すると、 バキュームゲージでの負圧はエンジン本体のバキュームですので、 当然#1、#4と#2、#3ではポートの長さ、熱の持ち方が異なりますのでゲージでの測定負圧は差が出ます (流体の原則で、温度と抵抗によって負圧が異なる)。 古いバイクになるとピストンクリアランスも各気筒ごとにバラつきが大きくなり、 したがって負圧もばらつきます。 よく1気筒打たなくなったエンジンを簡易に調べるためプラグホールに コンプレッションゲージを付けて圧力を測定しますよね? 1気筒ダメになったという判断は圧力が低くなっている物ですよね! と言うことはガスが抜けている状態ということです。 それをバキュームに置き換えると、消耗している気筒には正常に負圧が発生しません。 バキュームゲージでの調整は簡易判定と考えてください。 キャブの同調はあくまでキャブ自体のスロットルバルブ(ピストン)の開閉量を 目視で調整するのが本来のキャブ同調調整です。 マニュアルでも町のバイク屋さんでもバキュームゲージを用いるのは不調の場合に キャブの同調がおかしくないかどうか判断するためであって、 キャブ同調調整の道具ではありませんのでご注意ください
引用元:教えてバイク屋さん http://www.bbb-bike.com/blog/?ID=1988&cID=13
(このサイト今はもう無いのか)
ようするに 『気筒ごとの負圧はバラつきがあるんだからそれを元に開度を決めてもバラバラになる。同調は目視で取れ。』 と。
…ん? 気筒ごとの負圧が均一でないからこそ、バルブ開度でそれを均一にするのが同調なんじゃ??
6-2. 実際どっちでもOK
多くのレーシングキャブで目視で取る方法がマニュアルに記載されているらしいが、
バキュームゲージを使うこの方法も多くのサービスマニュアルに記載されている方法...
実際、目視で同調をとっている場合は、負圧計の値もそんなにバラつかない。
そこからわざわざ負圧計で同調を取っても「スムーズになった!…気のせいか?」ぐらいのもんだから。
どうでもいいけどテニスコート、アスファルトと違ってグリップが良い。
関連:
パイロットスクリューの調整