ピストン重量 揃え
高速で往復するコンロッドやピストンの重量は、より軽く、揃っている方が望ましい。
コンロッドの方はすこし軽量化し、重量を揃えた。
こんどは コンロッドの上に載るピストンの重量を揃える。
※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。
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1. 重量計測
1/100g単位で量れるデジタルスケールを使用する。
1/100g単位ともなると計測のたびに重量が微妙に変わってくるから、土台を作って計測のたびに対象物の位置がズレない工夫を施した。
1stリング、2ndリング、オイルリング、ピストン、ピン、スナップリング。
重量を計測して、メモ …
1番 | 2番 | 3番 | 4番 | |
1stリング | 1.68 | 1.69 | 1.74 | 1.68 |
2stリング | 1.68 | 1.68 | 1.69 | 1.68 |
OILリング | 1.74 | 1.71 | 1.70 | 1.72 |
ピストンピン | 17.03 | 17.02 | 16.98 | 16.97 |
ピストン | 61.05 | 61.09 | 61.03 | 61.02 |
(スナップリングは全部 0.22gなので省略。)
1stリング
→ 1つ他より少し重いが、今回ピストンリングは純正でなく、中国製。しかも自前の追加加工を施したものなので仕方ないか。
その他リング
→ 中国製とは言えほぼ揃ってる。組み合わせ次第でどうにかなるレベル。
ピストンピン
→ 中古なので多少バラつきがある。
ピストン
→ これも中古。 他より0.05gほど重いものが一つあるな。 少し調整してみる。
関連: 怖いほど安い 中国製 AHLピストンリングを使ってみた
2. ピストンのバリ取り
計測の結果、ひとつのピストンが他より0.05gほど重い。
削って重量のバラつきを抑える。
ピストンは圧力を受け止めるシビアな部品、軽量なアルミで出来ていて初めから肉抜きもされているので今回 大胆な軽量化はしないことに。
2-1. バリ取り
ピストンには、線状、突起状の "バリ"、立体的な "刻印" が存在する。
それらをヤスリで削って綺麗にします。
線状のバリ、ダイヤモンドやすりでスリスリ。 簡単に綺麗になります。
ピストン内側の立体的な文字の刻印。これも不要な部分。 サンドペーパーで平らにしました。
これで0.05g 落ちました。
さすが アルミ、軟らかいけど手間の割りに重量は落ちない。
2-2. 削りNG ピンボス
ピストンピンにオイルを供給する穴、ここは下手すると汚れで詰まるので、
オイルの通りを良くするため、ピストンピンボスに水平に新たな穴をあけてみた。
(ピストンピンボスとは、ピストンピンの軸受けのこと)
しかし…
非常に強い圧が掛かる部分であるため、削りなどは "基本NG" らしい事が判明。
…このピストンは使わないことに。
いろいろ検索したけど、「ピンボスに垂直に穴あけ加工」って記事を一件確認できただけ。 チューンしてる多くの方がピンボスにノータッチ、 触らぬ神に何とかって奴だ。
2-3. 削りNG 網目
ピストンヘッドの裏側、網目状になっている。
どうやら放熱のためらしい。
これは 削らない。
3. 重量を揃える
各部品を重量のバラ付きが少なくなるよう均等に分けていく。
均等に...と言っても 1.74とか 16.98とか 数字がごちゃごちゃ。
少し悩んでしまったが簡単だった↓
1番 | 2番 | 3番 | 4番 | |
1stリング | 0 | 1 | 6 | 0 |
2stリング | 1 | 1 | 2 | 0 |
OILリング | 4 | 1 | 0 | 2 |
ピストンピン | 6 | 5 | 1 | 0 |
ピストン | 3 | 2 | 1 | 0 |
上のように 各部品ごとに 最も軽いものを0、それとの重量差を書き出して、さらに整数に揃えれば分かりやすい。
1番 | 2番 | 3番 | 4番 | |
1stリング | 0 | 0 | 6 | 1 |
2stリング | 1 | 1 | 0 | 2 |
OILリング | 2 | 1 | 0 | 4 |
ピストンピン | 6 | 5 | 0 | 1 |
ピストン | 0 | 2 | 3 | 1 |
合計 | 9 | 9 | 9 | 9 |
値の大きいものを1~4番に割り振って基軸にすると考えやすい。
こんな具合に合計が揃うパターンを発見できた。
結局、誤差もあり、調整し直して 83.55 g (±0.01g)で揃えることができました。
0.01gは避けがたい誤差なので気にしないことにしよう。
そもそもカーボンなどがピストンに付着すればズレてくるから 1/10g 単位で揃っているだけでも十分過ぎるのかなと思って。
関連:
バルブ鏡面化
ポート研磨
コンロッド鏡面化・軽量化