『スターターロックアウトスイッチ分解・清掃』 KAWASAKIバリオスのメンテナンス


スターターロックアウトスイッチ分解・清掃



 クラッチレバーの根元のスイッチ。

 接触が悪いとニュートラルでも、クラッチ切ってもセルモーターが回らない。

 1000円ちょいで交換できる消耗品だが修理して使い倒す。







※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。


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インデックス

0. スターターロックアウトスイッチとは
   0-1. その役割
   0-2. 回路図でみる仕組み

1. 故障時とその対処法

2. スターターロックアウトスイッチ分解・清掃
   2-1. 取り外す
   2-2. 分解・清掃
   2-3. 補修する
   2-4. グリスアップして組み立て




0. スターターロックアウトスイッチとは

0-1. その役割


 スターターロックアウトスイッチ (別名クラッチスイッチ)。 クラッチレバーの付け根にある。


 「ギアがニュートラル以外の時、クラッチを切らないとセルモーターが回らないようにする安全装置」…

…と思ったがそもそもニュートラル以外で回らない機構であれば安全でよりシンプル…それこそ"スイッチなんて不要"になるわけで。(事項 回路図 参照)

 よってこのスイッチの役割は、

「利便のため、ニュートラル以外の時でもクラッチを切ればセルモーターを回せるようにする装置」

ってのが正解だろうか。



0-2. 回路図でみる仕組み


 △ セルモーター作動までの電気の流れ。
 (イグニッションスイッチ、キルスイッチ、スターターボタンは省略。)


 回路図の通り、
スターターロックアウトスイッチは、クラッチレバーの状態(離す/握る)に応じて回路を切り替えている。


 上図はクラッチレバーを離している状態だからニュートラルでないと回路は絶たれ結果セルは回らない。
クラッチレバーを握るとバッテリーマイナスまで繋がる回路に切り替わるためニュートラルでなくとも回路はつながる。

 回路がつながると、スターターサーキットリレーのコイルに通電 → スターターリレーのコイルに通電 → セルモーターに通電して回りだす。






1. 故障時とその対処法




▼ 故障すると...
 故障(劣化)すると、セルが回らなくなる。 スターターリレーも作動しないからカチっとも鳴らない。
 ニュートラルだろうが、クラッチを切ろうが、セルが回らなくなる。原因は単なる接触不良だ。


▼ 故障時の対処法
 セルが回らないときは、ニュートラルにし、スターターボタンを押しながら、ゆっくりクラッチを切っていく。これだけ。


 クラッチを切っていくとちょうど良いポイントで接触し、通電する。その半クラッチを維持してセルを回し続ければいい。  ちょっと困るのは冬の始動時。左手で扱いたいのはチョーク(スターターレバー)であってクラッチではないからね。


 交換する場合は純正品になる。パーツ代およそ1300円。







2. スターターロックアウトスイッチ分解・清掃



 単純構造のスターターロックアウトスイッチが1300円ってのは高い気がする。

 と言うわけで、交換せず修理とメンテナンスで使い倒します。



2-1. 取り外す


 スターターロックアウトスイッチはクラッチレバーの根元にある。

 下から覗いてネジ2本を外し、コネクターも引き抜けば外せる。(左)


 ケーブルが邪魔な時はホルダーのボルトを六角レンチで軽く緩め、ホルダーごとケーブルを動かして退かそう。(右)




 スターターロックアウトスイッチが外れました。

 数年ぶりだからけっこう汚れてる…。

 コネクターの接点も汚れやすいから綺麗にしておこう!
 関連:コネクター接点復活 (クラッチスイッチのコネクタ汚れ)



2-2. 分解・清掃


 分解する。 爪を起こして開けるだけ。





 いや~だいぶ汚れてる。

 潤滑用に塗布したシリコングリスが汚れを抱き込んでしまっている。

 緑青(銅の錆び)も見られる。





 銅パーツを外そう。 裏の爪を(-)ドライバーなどで少し起こしてから摘み取るだけ。

 裏の爪は何度か曲げ伸ばすと折れてしまうが、その時はボンドなどで固定すれば良いだけ。破損しても気にすんな。




 パーツクリーナーで古いグリス、汚れを落とす。

 銅パーツの錆は(-)ドライバーで削ぎ落す。

 キレイになりました!




2-3. 補修する


 掃除だけじゃ終われない。なんせ25万kmも使い続けて擦り減ってるから。




 金属の接点。丸いポチっとした部分が擦り減って消えそう。

 ここはバネで押し付けられる仕組みなので多少の擦り減りは問題ない、にしてもこれは減りすぎか?



 樹脂製のプッシュロッドも偏摩耗。

 ここは擦り減るとガタが出て接触が悪くなる。以前パテで補修したが長くは持たないな。






 てなわけで、はい、補修しました!


 擦り減った金属は、半田ごてで半田を盛って補修。

 盛りすぎると組み直す時にフタが閉じられなくなる。やすりで水平に削って整える。


 擦り減ったプッシュロッドは半田ごてで母材をと結束バンドを溶かして結着させ肉盛りしてみた。

 これもやすりで丸く削って整える。

 関連:プラスチック溶接



2-4. グリスアップして組み立て


 組み直す。 樹脂パーツの擦れ合う部分にはシリコングリスを。




 金属パーツは接点復活スプレーでコーティングと潤滑。

 以前はグリスアップしたけど汚れを抱きやすくなるので今回はスプレーだけにしてみました。




 フタを閉じ、ロッドの動作を確認。 組み立て完了!

 フタ閉じるときバネ噛むと上手く閉じられないから注意。




 車体に組んで正常な動作を確認、メンテ完了!






・接点復活スプレー
接点の汚れを除去、皮膜を形成する。
kureならコンタクトスプレーでOK。





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