『ポート研磨』 KAWASAKIバリオスのメンテナンス

ポート研磨


ポートに残るバリを削り取って吸・排気効率の向上を狙う。

…ってレーサーじゃあるまいし。 しかし大事な部分、ポートのバリ取りは紳士のたしなみ。

ピカピカにしてカーボン堆積の抑制を狙ってみる。


※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。


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0. やること


吸気ポート →
 「鏡面にすると混合気が層流となり燃焼効率が落ちる」らしい…。
 バリ取りと軽くならす程度に研磨してみる。


排気ポート →
 「鏡面にする事でカーボンの堆積を抑制できる」らしい…。
 ピカピカに磨いてみる。



1. ドリルで


リューター、超硬バー、フレキシブルシャフト等 を使うのが一般的らしいが、

「ドライバーに紙やすりを巻いたやつがもっとも活躍...」とのブログ記事を発見。



実際、コンロッドを削ったときに紙やすりで行けたので、

ドリル、サンドペーパー各種、ダイヤモンドやすり を使って挑戦してみる。

紙やすりをダイヤモンドやすりの柄にマスキングテープで巻きつけて準備完了。



2. 排気ポート バリ取り

2-1. バリ取り、100番


こんな感じでやっていきます。

まずはポートの壁面にある線上のバリを平滑にします。

バリは奥まで続いてますがちゃんと届きます。



穴を覗くとこんなポチッとしたバリも。これも削ります。




100番ペーパーでバリを取り、周囲も軽く慣らしました。

いや~、削れる!! あくまでコンロッドに比べたらですが。

しかし、バリが多い…。線状のバリは排気ポートだけで16本…。


今度は燃焼室側からバリ取り。

バルブシートに傷を付けるのはNG、だが難しくはない。



バルブシートリングとポートの境目に段差があります。

ポート内もボツボツと粗が目立ちます。

これらも100番ペーパーで平らにし、周囲を軽く慣らしました。



2-2. 削っちゃいけない場所



小指を入れてポート形状を探っていたら、

排気側バルブガイド手前に意味ありげな丘を発見! (挿絵 赤矢印)

気流をカーブさせるための形状だろう。

ここを削ってしまうと返って排気抵抗が増すに違いない。



3. 排気ポート 研磨

3-1. 100番, 240番


ようやくバリ取りが終わって、楽しみにしてた磨き作業。
100番、240番。


3-2. 400番, 600番


400番、600番。

この辺りからヤスリの目詰まりが激しくなります。
ポートを触ってみるとスベスベして気持ち良い。

しかし 表面が平滑になるに従い 研磨の甘かった場所がはっきり見えてきました。 もう一度もどって修正。

あとから分かったことですが、400番からは手作業がおすすめ。
400番あたりで平滑で綺麗になっていないと後の仕上がりも良くならない。


3-3. 800番, 1500番


ペーパーの目詰まりが激しくなってきたので耐水ペーパーに水を付けながら手作業で。

艶出し作業の域に入ってきたので手作業でもけっこう楽。

表面が滑らかになるに従って徐々にグレー色になってきました。


3-4. 2000番, 青棒そして戻る


2000番で磨き、適当な布を巻きつけたドリルに青棒を塗布して磨く。

一応、ピカピカになったが また磨けていない所がはっきり見えてきた。

もう一度 もどって磨きなおす…。


3-5. 固形ピカール, マザーズマグポリ, 青棒


2000番から青棒では一気に飛びすぎだったか?

白棒があればよかったが無いので固形ピカール、マザーズマグポリ、最終仕上げに青棒。

一段と艶やかになりました! 、、、しかし いまいち…。


3-6. やり直し、鏡面ポート 完成


またやり直し。 400番まで戻り、手作業で縦方向にスリスリ…。

上に書きましたが、400番からは手作業で、かつ丹念にやるとより綺麗な出来に。

同じ作業を経て、これで鏡面化 完成! ってことで。


吸気ポートはバリ取りと100番研磨だけなので省略します。



4. 作業のポイント まとめ


1. バリ取りが大変
  細かい番手では時間が掛かり、粗い番手だと削り過ぎに神経を使う。特に出っ張った部分は削れ易い。 見くびって作業すると萎える。

2. 綺麗にやるなら手作業
  400番辺りでしっかり綺麗になっていると出来も綺麗に。ドリルで付いた線を消すように手作業で縦方向に磨いていく。

3. 鬆(す)の深追い注意
  鋳物は冷えて固まるときに内部に空洞を生じてしまう。これが鬆(す)。磨いているとボツボツと小さな凹みが見えてくる。
 これが内部にたくさん潜んでいる場合があるようで、気になるからと削り続けるとポート径が広がりすぎてしまう。 妥協も大事。



5. 実際に走ってみて

2018年7月装着。


劇的に変化!...してなかった

「ちょっと削ったぐらいだし、ほとんど変わらないだろう」
と思ったけど、”~な気がする” レベルじゃなく明らかに違う…。


・ トルクの谷が大きくなった。
・ エンジン熱すぎ。



これは何とかせねば! と、

キャブをいじり続けて分かった、”結局のところ、キャブの整備ミスによる迷走…”。(※)

結論として、ポート磨いても走りは以前とほぼ変わりません。




※. ミスの連鎖と迷走 (キャブ)


失敗1. 勘違いで油面下げちゃう
OH時、油面が少し高いと勘違い。フロート高を13.5mmにしてしまう。迷走の始まり。これで薄くなってしまった。
    ↓
失敗2. フロート取り付けミス
油面は高くないことに気付きフロート高を13mmに戻すが、フロートがガタ付いた状態で気付かずネジ締め。これでどうやら濃くなってた。
    ↓
失敗3. 一度に2箇所の変更をしちゃう
スローが薄いのかと思い番手を上げるためキャブを開ける。ここでフロートの取り付けミスに気付く。
これが原因かと直しつつ、スローの番手も#40にアップ。
一度に2箇所の変更をしてしまう。これで何が原因か分からなくなってしまった。
    ↓
失敗4. スロー変更後の試走日がいつもより涼しい
セッティング変更して試しに走った日がよりによって涼しかった。
結果、調子よく走れてしまう。これで実際は濃いのに、やはり薄かったのだと思い込んでしまった。
    ↓
失敗5. パイロットスクリューに翻弄される
エンジンが温まると調子が悪いことに気付く。濃いのかと思ってPSを締めるとさらに悪くなる。
むしろ戻した方が調子がマシになる。 濃いの??薄いの?? これでますます分からなくなった。


結局、極端に濃い目のスロー(#48)に変更した所、より強く症状が出たのでもしやとノーマルに戻したところ、元通りに...というのが事の顛末…。




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