『セルモーター分解・清掃』 KAWASAKIバリオスのメンテナンス


セルモーター分解・清掃



最近エンジンの始動性が悪い。加速はいまいちでアイドリングは不安定でエンストしそう。

17年間、24万km以上も無整備のセルモーターを分解、清掃してみる。






※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。


- 広告 -

インデックス

1. バイク不調 (始動不良)

セルモーターを...
2. 外す
3. 分解する
4. 清掃、コミューター磨き
5. 点検する
6. 組み立てる

7. 原因はコレだ!
8. 勉強になった事 (空燃比とスパーク)



1. バイク不調 (始動不良)


症状:
1. トルクの谷が強く、重ったるい
2. エンジンが温まると始動不良
3. アイドリング不安定1 (時々 弱々しい)
4. アイドリング不安定2 (時々 脈が飛ぶ)
5. セルの回りが弱い


 症状 1,2,3は今までの経験上ではガスが濃すぎるときの症状。 事実、スロージェットの番手を#35,33などに下げるとトルクの谷が消え、調子は上がった。しかし完全には解決せず症状 4,5 が新たに出現。  さらに薄くするためフロートの高さを思い切って1mmUP。再始動性はわずかに上がったようだがパワーダウン。

 始動が悪いと言っても押し掛けではさらっとエンジンが掛かるんだよな。 押し掛けで簡単に掛かるって事は空燃比は無関係? スターターボタンを離した瞬間に掛かる事もあったから電気が弱い?

 なんか トルクの谷問題 と 始動性わるい問題 は原因がそれぞれ別のような気がするな…。 とりあえず空燃比は大丈夫そうなので一度もしっかりした整備をしてないセルモーターを点検する。



2. セルモーターを外す



 エンジン始動不良。  セルモーター外して点検する。



 セルモーターを外すにはエアクリーナーボックスを外す必要がある。
キャブホルダーのクランプを緩めエアクリボックスごと外すことができる。

関連:キャブレターの外し方




 セルモーターは赤枠の部分。ホースの下に隠れてる。

 ボルト2本を8mmのメガネレンチで外す。

 狭いからソケットレンチは無理。




 あとは車体右方向に引っ張れば外れる。

 オルタネータから引き抜き、モーター上部の突起は回してラジエーターホースとの接触を回避、 後は力技で抜き取るといった具合。 キャブホルダの負圧ホースを外すとよりスペースができる。




 まだ太いコードがスターターリレーに繋がっていてフリーではない。

 保護カバーを外して8mmのレンチでボルトを外せばコードを外せる。

 ドライバーだと舐めやすい。六角形になってるからレンチがベター。




 これで車体からセルモーターが外せました。これから分解。



3. 分解する



 セルモーターを分解して中を見てみよう。



 8mmのレンチで2本のボルトを外す。
 ボルト部分にはOリングがついてる。ボルトの根元に付けておこう。



 後はグイっと引っ張ってフタを外すだけ。
 部品多そうに見えるけど大別すると、上下のフタ (1,3)、 真ん中の本体 (2) の三つの部品に過ぎない。



 分解するとこんな感じで大まかに三つの部品になる。 ワッシャーやバネはなくさないように注意しよう。

 分解前に上のフタ(1) から 本体(2) にマジックで線を引いておくと組み立て時に合わせ位置が分かりやすい。 私は上面だけ黒塗装してるのでこれで分かる。



 さらに 本体を二つの部品に分解する。 磁力でくっ付いてるだけなので引っ張れば外せる。

 外側をステーター (固定子)、中の部品をアーマチュア (回転子) と言う。




4. 清掃、コミューター磨き



 17年、24万キロで初めての清掃だから内部は削れたカーボンブラシのカスだらけ。



 ステーター(固定子)はカーボンブラシのカスだらけ。 ここは水洗いして歯ブラシでゴシゴシ。



 下のフタ。カーボンブラシ周辺。ここもカスだらけ。
 ここは分解せずパーツクリーナーが良い。あまり分解すると半田づけし直すことになる。



 アーマチュア(回転子)のカーボンブラシの当たる部分をコミューター(整流子)と言う。 カスはこびりついたり、溝に溜まる。

 モーターが動かない場合はここを磨くと直ったりする。 古い掃除機の修理で経験済み。




 はい、カスを落としてキレイになりました!

 ちなみに分解すると半田づけが必要になるってのは右の矢印の部分ね。



 コミューターも清掃して研磨、ピカピカ!

 スポンジ研磨材(粗目、中目、細目)をコミューターにあてがいクルクル。その後、ピカール、マザーズで磨き上げました。溝に残ったカス、研磨剤は安全ピンでこそぎ取りました。




5. 点検する



 マニュアルに沿って異常が無いかチェックしよう。



 コミューター(整流子)との接触で削れていくカーボンブラシ。 厚みをチェック。


〇 カーボンブラシの厚み
規定: 7mm
限界: 3.5mm

 計測すると6mm。24万kmオーバーでたった1mmの摩耗。全然減らないな。 短距離走行やアイドリングストップを繰り返してる車両は当然もっと早いペースで減る。






 コミューター(整流子)の径をチェック。 本格的な清掃の前に行ったので汚いです。


〇 コミューターの径
規定: 24mm
限界: 23mm

 計測すると24.2mm。アナログだから0.2mmは誤差だろう。 自分で削らない限りは減るもんじゃないんだな。




 コミューター(整流子)のセグメント間の抵抗値をテスターでチェック。 テスターのレンジは最小。


〇 セグメント間の抵抗値
(テスターレンジ最小)
異常: 高い抵抗値、読み取り不可∞

 マニュアルに任意の2つのセグメントって書いてあるけど2つだけでいいって事かな? 念のためいろんなセグメント間でチェック。確か10円玉でチェックするのと変わらない低い抵抗値を示したはず。正常でした。




 コミューター(整流子)のセグメントとシャフト間の抵抗値をテスターでチェック。 テスターのレンジは最大に。


〇 セグメントとシャフト間の抵抗値
(テスターレンジ最大)
異常: 読み取り値あり

 これで読み取り値があるとショートしてるってことになるらしい。 通電なし。正常でした。




 ターミナルと(+)ブラシ、本体と(-)ブラシ間の抵抗値をテスターでチェック。 テスターのレンジは最小。


〇 ターミナルと(+)ブラシ間の抵抗
〇 本体と(-)ブラシ間の抵抗
(テスターレンジ最小)
規定: 0オームに近い値

 2Ωぐらいでした。10円玉と同じぐらいの値なので異常なし。



 次いでターミナルと(-)ブラシ、ターミナルと本体間の抵抗値をテスターでチェック。 テスターのレンジは最大。


〇 ターミナルと(-)ブラシ間の抵抗
〇 ターミナルと本体間の抵抗
(テスターレンジ最大)
規定: 読み取り値なし

 読み取り値があるとショートしてる。通電なしでした。異常なし。




 点検の結果、全て異常なし!

 しかしマニュアル曰く、点検で異常が無くてもダメなもんはダメなんで交換... とのこと。




6. 組み立てる



 点検が終わり組み立て。コツがある。



 組み立て時に困るのがここ。

 バネで飛び出すカーボンブラシはクリップで押さえつけよう。

 写真ではワニぐちクリップを使用してます。これでアーマチュアを入れられる。




 組み立て時に失敗するのがここ。

 アーマチュアを下に押さえつけながらステーターを通そう。

 何も考えずにステーターを入れて行くとその磁力でアーマチュアが不意に引っ張られて折角のブラシが外れるぞ。




 ステーターは凹凸の位置を合わせないとクルクル回ってしまう。 この時もアーマチュアを押さえながらステーターを少し持ち上げハメ直す。

 後はもう一方のフタを閉める。ここは自前の目印で位置合わせ。

 ボルトを締めたら組み立て完了!





7. 原因はコレだ!


 カーボンカスを掃除し、コミューターを磨いたセルモーター。

 始めは調子よく回り、直ったように思えたがまた同じ症状… いや、何なら整備前より弱々しく回る。 その調子は低い状態の中さらに上下し、酷い時はバッテリー電圧12.0vぐらいで回すようなびっくりする弱々しさだ。

 その後さらに2度、分解、点検するも始動不良は変わらず。 もう分からず途方に暮れる。




 途方に暮れて関係ない整備をしだす。

 ダイソーの配線テープが劣化してベタベタだ。バイクや車に使うもんじゃないな。 この中国製の配線テープは期待以上に纏めてくれる!

 車体のいろんな配線テープを交換しようと剥がしていると…、




 !! …、線 切れてるやんけ。

 焦げた樹脂がボロボロ落ちる。水が侵入、ギボシ端子が腐食、錆による抵抗が熱を生み、ゴムカバーを焼いたらしい。

 ここはオルタネータから来る黒い三線のうちの一本。 電気の供給元の線だ。

 配線図を見るにここにギボシ端子は無いはずだが…、そういやグラインダーに巻き込んで切れたのを直したんだっけ。



 ▼ 線を繋ぎ直した結果

 今までより力強い!アイドリングも安定!
 しかし、セルの弱さはまだ直らず。 また途方に暮れる。





 ある日、再始動を試みるとカチッ、カチッ、セルが回らない。リレーが原因か!と思ったがこれはどうやら違う。

関連:中国製スターターリレーで費用93%カット



 ようやく判明、コネクターの接触不良。これで問題は解決だ!

関連:コネクター接点復活




8. 勉強になった事 (空燃比とスパーク)



 混合気は濃いほど、より強いスパークが必要になる。 (語弊あり)





△ 正常時
 このバイクはトルクの谷で濃い目になっているはず。
 それでも良い燃焼に必要な3要素が正常なら重さはさほど感じない。



△ スパークが弱い時
 今回は接触不良でスパークが弱くなってこの状態。プラグ劣化時もこれに似た状態。
 トルクの谷の部分で症状が顕著になり自覚できます。



△ スパークが弱く、ガスが薄い時
 スパークが駄目でもガスを薄くすればトルクの谷、濃い目の部分に限ってはより理想的な空燃比に近づくため症状が改善する。
 全体的にガス不足でパワーは低下するが噴け上がりはよくなるだろう。 今回はスロージェットだけ小さくしたので中高回転域でのパワー不足も感じにくかった。



 まとめると、

 トルクの谷で濃すぎるような症状 → 薄くしたら改善 ...となっても空燃比だけに囚われてはいけない。 スパークは正常か-。

 また逆も言える。スパークプラグの交換で改善したからと言って空燃比に問題が無いとも言えない。







広告

広告


広告

-広告-

バイク用品&インプレッションウェビック

↑ PAGE TOP

フッター