フロントフォークのオーバーホール
フロントフォークからオイル漏れ。
左右のフォークに相違があると路面の感覚がしっかり掴めず危険!
バラして清掃、オイルシールを交換する。
※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。
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インデックス
0. フォークオイルを用意
1. ジャッキアップ
2. 前輪を外す
3. フロントフォークを抜き取る
4. フロントフォークの分解
4-0. 分解の手順
4-1. ダストシールとスナップリングを外す
4-2. 中身(オイルと部品)を取り出す
4-3. フォーク底部からシリンダーのボルトを外す
4-4. アウターとインナーを分離して分解完了
5. 部品の清掃
6. フロントフォークを組み立てる
6-1. アウターにインナーを入れる
6-2. ブッシング装着
6-3. オイルシール装着
6-4. シリンダーのボルト装着
7. フォークオイルを注ぐ
A. 規定量を注ぐ
B. 油面で取る
8. フォークスプリングシートを締める
0. フォークオイルを用意
フォークオイルにはいくつかの粘度があり適正なものを選ぶ必要があります。
バリオスは G-10 または、SAE 10w。 両方とも同じ粘度です。
二輪各社から自社ブランドのオイルが出てますが、汎用品なので好きに選んでOK。
ヤマハ |
カワサキ |
スズキ |
YAMAHAと違い、SUZUKIのはなぜか劣化するとドブ臭くなり、作業時に萎えます。
1. ジャッキアップ
フォークを抜き取るからバイクリフトジャッキ等を使ってフロントをジャッキアップ!
2. 前輪を外す
フロントタイヤを外します。 慣れちゃえば簡単。 外し方はこちら。→ フロントホイール(前輪)の外し方
3. フロントフォークを抜き取る
1. フォークホルダーアッパーのボルト、六角6mmで外す。
(ここがきつく締まっていると次の工程、フォークスプリングシートを緩められない。)
2. フォークスプリングシート、 24mmのメガネレンチかモンキーレンチで少し緩めておくだけ。
(フォークを外してからだと緩めにくいから固定されている今のうちに。)
3. フォークホルダーアンダーのボルト、六角8mmで外す。
4. フロントフェンダーを外す。
フェンダーを固定するボルト(左右に全4つ)を六角6mmで外す。
フェンダーはフリーになったが干渉があってそのままでは抜き取れない。
フォークのアウターチューブを少し回してクリアしよう。
5. フォークを抜き取る。
フォークのインナーチューブを手で持って、左右にグリグリ回しながら下に引っ張ると抜けていきます。
少し抜けにくいからフォークホルダーの隙間 を(-)ドライバーなどで広げると抜けやすくなる。
また 潤滑 する事でさらに抜けやすく、インナーチューブへの傷防止にもなる。
フロントフォークが外れました。想像していたより重い!
そのせいで、フォーク底部を地面にぶつけてしまった。
つぎはフォークをバラして清掃。
4. フロントフォークの分解
4-0. 分解手順
1. フォークスプリングシートを外す。
2. 中身を取り出す。
3. インナーチューブとアウターチューブの結合を解くため、ボルトを外す。
4. シリンダーを取り出す。
5. オイルシールとブッシングをインナーチューブごと引っこ抜く。
4-1. ダストシールとスナップリングを外す
まず ダストシール、その下のスナップリング を外しましょう。
小さなマイナスドライバー等で こじれば簡単です。
ダストシールはヒビがあれば交換。 ヒビがあると雨水が浸入します。
4-2. 中身(オイルと部品)を取り出す
フォーク最上部、フォークスプリングシートを外して中身を取り出す。 24mmメガネかモンキーレンチで。
レンチでは緩めない、手のひらで押しながらインナーチューブの方を回して緩める。
スプリングシートは外れる時バネの力で飛び出すので注意。
シートを外したら、オイル受けにフォークを優しくひっくり返して中身を取り出します。
4-3. フォーク底部からシリンダーのボルトを外す
シリンダーのボルトを外してインナーとアウターの結合を解く。
ボルトはフォーク底部の奥まった場所にあり、固く締まっているから、よくある六角レンチなんかでは外せない。
六角6mmのロングソケット と 柄の長いスピンナーハンドル などで外します。
フォーク側面にレンチ等を掛けて押さえつけつつ、
底部ボルトを、バキッと緩め インナーチューブを片手で引っ張りながら 外していく。
インナーを引っ張らないとシリンダーとボルトが共回りします。それでも共回りして外せないなら、取り出したスプリングを入れ直し、元通り組み立ててやってみて。
4-4. アウターとインナーを分離して分解完了
結合は解けたので、アウターチューブからインナーチューブを引っこ抜いて分解完了。
インナーは簡単に抜けることもあるらしいんですが、力を込めてもビクともしません。
抜けないときは、まず中に残ってるシリンダーを取り出し、フォークを逆さまに。
インナーを縮めて、勢い良く引っ張る。
これを繰り返すと徐々にオイルシールがせり出して外れます。
5. 部品の清掃
長年ノータッチだったため、底部にはスラッジがベタッ と付いてました。当然だね…。
全ての部品をパーツクリーナーで綺麗にしてお掃除 完了!
写真は20万kmノーメンテだったフォーク分解時の物。
ノーメンテで3,4年も乗り回していれば少量ですがスラッジは出てきます。
つぎはオイルシールを新品に交換、組み立て。
6. フロントフォークを組み立てる
6-1. アウターにインナーを入れる
清掃は済んだのでフォークを組み立てる。
まず アウターチューブにインナーチューブを入れる。
しっかり入ってる?
インナー底部 の ブッシング、
これが上手くはまっていないと、インナーが底に付かないので違和感があるはず。 その時は入れなおして。
6-2. ブッシング装着
オイルシールの下にある金属の輪っか2つ、ブッシングとスペーサーをインナーチューブに通して内径40mmのパイプで押し込む。 難なく装着。
このブッシングは OHの際には交換が望ましい ようです。
交換せずに20万km以上使用中のブッシング。
表面が擦れて下地が見えてる。不具合は感じてない。次回は交換しよう。
6-3. オイルシール装着
純正の新品オイルシールに交換。
(部品番号:92049-1391)
部品の互換は、バリオスI/II、CB900F、エストレヤ、RG125ガンマ、グース350、CB750F、TZR250...らしい
ノーブランドやAHLとかの中国製でも普通に使えてますが、わずか0コンマ数ミリ大きいせいで嵌らない事象が発生。別ブランドも買っておくと安全。
イタリアブランドのariete (アリート)ってのもあります。 耐摩耗性の高いゴム、XNBRを使ってるらしい。
オイルシールを通す前に、インナーチューブをラップで覆う。
これはインナーに浮いた錆でオイルシールの内側に傷を付けないため。
さらにシリコンスプレーで滑りを良くしてからオイルシールをインナーチューブに通そう。
はめ込みが楽になるようにオイルシール外周にもシリコンスプレー、
オイルシールをはめ込む。 内径40mmのパイプで。
少し体重をかけてグッと押し込むと難なく装着。 潤滑しないとちょっと苦戦します。
6-4. シリンダーのボルトを装着
インナーチューブにシリンダーを入れます。
シリンダーを底部のボルトで締め付けます。 ネジロック剤(中強度)を塗布。
ここの銅ワッシャー (内径8mm 外径14mm 厚み1mm程度)は要交換ですが再使用しちゃう。
さて ボルトがシリンダーと共回りして締め付け出来なくなる所まできたら、インナーチューブを片手で引っ張りながら締め付けていきます。
ZXR250は4.0kg・mの締め付け。 けっこうきつめ。
もし本締めの時に空回りするようならフォークを完全に組み立てた後にやろう。シリンダーが固定されるので出来ます。
7. フォークオイルを注ぐ
A. 規定量を注ぐ (簡単だが誤差が出やすい)
368cc±2.5cc
(ちなみにZXR250は規定量は430±4cc)
規定量を計って上部からゆっくり注ぎます。
慌てて入れると溢れてこぼれるので注意。
オイルを入れたらインナーを上下させて下まで行き渡らせる。 あまりしっかりやらなくても走っているうちにいい具合になります。
B. 油面で取る (面倒だが細かな調整ができる)
140mm±2mm?
(ちなみにZXR250は85±2mm)
これはおそらく、「垂直に立て、インナーを底まで押し下げ、スプリングの入っていない状態でフォーク上部から140mm下のところに油面がきている状態」 という事かと思います。
底の方に空気が留まっていると実際より油面が高くなってしまいますから エア抜きが必要 です。
インナーを上下させるとコポコポと空気が抜けて油面が下がっていきます。その後放置して小さい気泡が上がってくるのを待つ...と。
入れすぎた場合は長いスポイトで抜くか、下のようなフォークオイルレベルゲージなる専用品を使えば微調整も簡単でしょう。
8. フォークスプリングシートを締める
インナーチューブ内に残った部品を入れる。 ピッチの広いほうが上になるようにスプリング、スプリングシート、カラー...。
フォークスプリングシートは締めようにもバネの反発が強くて普通には締められない。
外すとき同様、シート回してを締めるのではなく、インナーを回して締めましょう。
シートにレンチをかけ、手のひらで頑張って押し込む。もう片方の手でインナーチューブを反時計回りに回せば、シートを時計回りに回しているのと同じになり、締まります。
この時、シートはインナーチューブと共回りしようとするのでレンチを足で押さえ固定します。
あとはフォークを車体に戻す。フォークスプリングシートを本締め。
フォークオイル漏れで危険なほど違和感のあったフォークは見事に復活!