『バルブクリアランス調整 (1/3)』 KAWASAKIバリオスのメンテナンス


バルブクリアランス調整 (1/3)

バルブクリアランス調整 12000km毎


マニュアルによるとバルブクリアランスは12,000km毎にチェックすべきらしい。

実際は12,000km 程度で狂うことはないが、

問題が出る前に整えておくべき 重要箇所。


(このサイトではクリアランスをシムで調整するタイプについて説明します。)




バルブクリアランス調整の概要 → バルブクリランスが狂ったときの症状、バルブクリアランスって何とか

バルブクリアランス調整(1/3) → 1.下準備~4.クリアランス計測まで

バルブクリアランス調整(2/3) → 5.シム取り外し~7.シム削って厚み調整まで

バルブクリアランス調整(3/3) → 8.組み直し、計測可否詳細

※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。


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1. 整備の下準備

1-1. 特別用意すべき工具

用意すべき工具


1. マイクロメーター (測定範囲 0~25mm)
0.01mmの細かい単位で厚みを計測できる工具。 これでシムの厚みを計測。
シムの厚みは2mm程度なので測定範囲が 「 0mmから 」 の物をチョイス

2. シックネスゲージ
バルブクリアランスのような、狭い隙間を計測する工具。
計測範囲は0.04mm辺り~1mm程度までで十分。
計測ポイントが奥まっているとかでなければ、リーフが真っ直ぐで、あまり長くない物が扱い易い。

3. 磁石
タペットは磁石で持ち上げて外すので。 小さめの。 強力じゃなくて良いけどほどほどの磁力の。

4. シムを削って調節するならその工具
今回は初めてディスクグラインダーで挑戦。 仕上げ用にダイヤモンドやすりを使用。
オイルストーンはほとんど削れないから使わない。



1-2. あらかじめ必要な作業

外れたラジエーター


ラジエーター、キャブを外す。 付いたままだと、邪魔になってクリアランスが計測できません。
(ラジエーターは完全に外さなくてもずらせばギリ何とかなる。)

こちら → ラジエーターの外し方キャブレターの外し方



2. クラッチカバーキャップを外す

クラッチカバーキャップ


右側エンジンカバーにある ”窓”を開けます。 ボルトは3本、7mmで。


クラッチカバーキャップ


外すと見えるのは パルシングローター、これを固定するボルトを回すことでクランクを回すことが出来ます。

上死点マークもここ。 ちなみに上死点マークは車種によってはフライホイールについてたりするらしい。



3. ヘッドカバーを開ける

エンジンカバー


エンジンの一番高いところ、ヘッドカバーを外す。 プラグキャップを外し、 ボルトは4本は10mmのレンチで。


カムシャフト


ヘッドカバーを外すとこの状態。 バリオスは4気筒 × 4バルブ の全16バルブ。

写真の状態では見えませんがキャブ側に吸気バルブ8つ、 エキパイ側に排気バルブ8つが並んでます。





4. バルブクリアランスを測定する

4-0. 計測の手順


計測の手順ざっと説明すると、

1. 上死点に
 1,4番ピストンを上死点に。
(※ 上死点とはピストンが一番上に来た状態の事。)

2. 計測できる箇所を計測
 目視でバルブの開閉を確認、カムがバルブを押し込んでいない 8箇所のクリアランスを計測、メモ。

3. クランク 1回転
 360°クランクを回して再び1,4番上死点に。

4. 計測できなかった箇所を計測
 バルブの開閉パターンが前回とは反転しているので計測できなかった 8箇所を計測、メモ。

以上。



4-1. ピストン1番、4番を上死点に


では実際に作業。 ギアはNに。

パルシングローター 1,4番上死点


パルシングローターのボルトを回してクランクを回していく...

ボルトは延長ソケット+14mmのソケットで。


(ボルトを回すと言っても緩めるわけじゃありません。 硬く締まっているので通常、緩みません。)

1,4番を上死点にします。 1と4の間の”Tマーク”です。

マーク合わせは大体でOK。 結局、カムとバルブの間に隙間ができれば良いだけ。細かなバルタイとかは無関係なので。



4-2.バルブの開閉状態を見極め

1,4番上死点時、吸気側からの画


目視でバルブの開閉状況を見極め、下の表に照らしてどこが計測可能かチェック。


▽ クリアランス計測 可否表 (※1)

A. 

1番2番3番4番
排気(IN)××
吸気(EX)××

        ↑
クランクを360°回す
        ↓

B. 

1番2番3番4番
排気(IN)××
吸気(EX)××


… 計測可。(カムがバルブを押していないのでクリアランス計測可能。)
× … 計測不可。(カムがバルブを押しているので隙間が潰れて計測不可。)



写真ではカム山が、1番吸気は手前に、3番吸気は奥を向いている。
つまりここはカムがバルブを押してない、計測可能な所だから....計測可否表のBの状態だ!

このようにバルブの開閉状況を、表A, Bのどちらの状態か見極めて○×を見て計測していけばスムーズ。


(※1). 表は一般的な4気筒の。燃焼順序は 1-2-4-3に対応。
他に 1-3-4-2のタイプもあり、バルブの開閉パターンが異なる。 具体的には上の表の"2番"と"3番"を入れ替えたパターン。細かい話や燃焼順序1-3-4-2の可否表はバルブクリアランス調整(3/3) 下部で。



4-3. バルブクリアランス計測


実際にシックネスゲージで計測。

シックネスゲージ


シックネスゲージの使い方:
リーフの一枚一枚に厚みが書かれていて、これを適宜に組み合わせて任意の厚みを作り、隙間に差し込んで間隔を計測する。


バルブクリアランスの計測


カムの下の隙間に、適宜に組み合わせたリーフを差し込みます。

隙間へ差し込む抵抗が「ようかんを切るぐらい」の厚みを探り、それを計測値としてメモする。
(ようかんがいまいち分からないならギリギリ無理なく入るところを探ろう。誤差で済む話。)

計測可能な8箇所のクリアランスを計測しました。




4-4. 残りのクリアランスも計測


バルブの開閉パターンを反転させ、計測できなかった残り8箇所のクリアランスを取得します。

クランクを360°回し、再び1,4番上死点に。前回計測できなかった箇所を計測、メモ。

全クリアランス計測完了!



▼ 計測の結果 (単位はmm)

 ○ Baliusのバルブクリアランス規定値
排気(EX):  0.20 ~ 0.29
吸気(IN):  0.15 ~ 0.24

バルブクリアランス計測値


前回の調整から4万数千kmの走行、1箇所を除いて全部規定から外れてます。
通常は排気側(EX側)の方が詰まりやすいんだけど、今回はIN側もけっこう間隔詰まってる。


次はシムを外して、厚み調整。



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