バルブクリアランス調整の概要
このサイトでは、バルブクリアランスを ”シムで調整するタイプ” について説明しています。
■ バルブクリアランス調整の概要 | → バルブクリランスが狂ったときの症状、バルブクリアランスって何とか |
□ バルブクリアランス調整(1/3) | → 1.下準備~4.クリアランス計測まで |
□ バルブクリアランス調整(2/3) | → 5.シム取り外し~7.シム削って厚み調整まで |
□ バルブクリアランス調整(3/3) | → 8.組み直し、計測可否詳細 |
※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。
0. バルブクリアランスが狂ったときの症状
症状は非常にゆっくりと進行していくからパワーが大きく低下していてもなかなか気付かない。
下はクリアランス無調整で13万kmも走行して表面化した、パワー低下以外のトラブル。
症状 1: エンジンが温まると始動困難に。
症状 2: マフラーからパンッ!という破裂音、アフターファイアー発生。
症状 3: なんだかエンジンが異常に熱い。
症状 4: そのうちエンジン冷間時の始動も困難に。
〇 薄いのが原因!
初めに発生したのは "温間時、始動困難になる症状"。 これだけならキャブのオーバーフローで濃くなっていると考えがちだけど実は逆。
全ての症状は、クリアランスが詰まって バルブが閉じずに混合気が漏れ、また、吸・排気が上手くいかずに薄くなる事で起こっていた。
実際の整備は、
バルブクリアランス調整 (1/3)にて。
このページではバルブクリアランスについての解説のみ。
1. クリアランスの前に、バルブって何?
バルブは簡単に言えば エンジン燃焼室の扉 のこと。
燃焼室は、燃料を引き込んで燃やす部屋。 バルブはそこにある扉。
扉をちゃんと開け閉めできないと、燃料は上手く入れないし、勝手に出て行っちゃったり…。
2. バルブクリアランスとは
バルブクリアランスとは、カムとバルブの隙間 のこと。
熱で金属部品が膨張することを考慮して、あえて作られた隙間 です。
熱が入って膨張すると隙間はゼロに近づき丁度いい具合に。
3. クリアランスは狂う
3-1. クリアランスが詰まる
バルブクリアランスは金属の磨耗で徐々に狂ってきます。
例えば上のようにバルブシートが磨耗すると間隔が詰まります。
バルブシートやバルブの当たり面が摩耗、間隔が詰まって、狂うパターンがほとんどです。
(カム、タペット、シムはオイルで潤滑されているのであまり磨耗しません。)
3-2. 詰まるとどうなる
クリアランスが詰まっていると、
エンジンの熱で伸張したバルブがシートに密着せず浮いてしまう。
扉が開きっぱなしの状態。これでは圧縮が漏れたり、吸・排気が上手くできません。 当然パワーダウン、そのうちエンジンを掛けるのもままならない状態に…。
4. シムでクリアランスを調整
隙間を調整するのはタペットの下にあるシムという金属パーツ。
間隔を空けたいならシムを薄く、 間隔を詰めたいならシムを厚くして調整します。
必要な厚みのシムを注文するのが基本ですが、薄くするなら削って調整することも可能。
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