シリンダーのホーニング
ホーニングとは、オイル保持のためシリンダー内壁に刻まれる網目状の筋(クロスハッチ)。
よくある中国製のシリンダーホーニングツールを使用してホーニングしてみる。
○ 使用するホーニングツールのスペック
グリッド(砥石の粒度) | #280 |
使用回転速度 | 300~1200rpm |
対応シリンダー内径 | 25~63mm |
※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。
1. 回転速度 注意
使用する工具は、シリンダーホーニングツール、ドリル、潤滑オイル、
そして、スピードコントローラー。
このスピコンはいろんな工具の回転をコントロールできる。
これで安物のドリルでもある程度は自在に回転速度をコントロールできるので、
ドリルの回転を落とし、ホーニングツールの規定の回転速度(300~1200rpm)で使用します。
ドリルの回転を制御しない場合、2000rpmぐらいの回転速度になってしまいます。
この高速回転でホーニングツールを使用すると…、
・ツールの砥石が割れる。
・クロスハッチにならず平行線だらけに。
・ツールが手に当たって皮ずる剥け。
なんて事になるようで 注意。
2. ホーニングします
2-1. 砥石にオイルを染み込ませる
こういう砥石はオイルを吸い込む。
砥石がお腹いっぱになるまで十分オイルを吸わせます。
2-2. 圧力調整
ネジを締めこむとより強く砥石がシリンダーに押し付けられる仕組みです。
圧力が強すぎて失敗するよりは弱すぎる方がましです。
ネジは一番緩い所からちょい閉めこんだ辺りがちょうど良いかと。
2-3. ホーニング 実施
今回ホーニングするシリンダーはヤフオクで入手したもの。 ちなみにバリオスのシリンダー径は49mm。
シリンダーにもオイルを十分差して、ホーニングツールを入れる。
そして回転スタート。
程よい速度でドリルを往復させる。大体30往復はしました。 10往復程度で十分だったかな?
後述しますが一度 失敗しています。
2-4. ホーニング 成功
オイルをふき取ると、斜めの線がちゃんとクロスしてます。 なかなか良い具合のクロスハッチ。
当たり前ですがプロのクロスハッチと比べると粗いです。ムラのあるクロスハッチ になります。
2-5. ホーニングの線の深さ
シリンダーを指でなぞるとすべすべ、でも爪のエッジでなぞるとわずかに凹凸を感じて平滑ではないのが分かる。
以前、耐水ペーパー#800や#600でホーニングした線より明らかに深い。
線が深いと油膜は厚くなり保護力が増す、しかしピストンにとっては抵抗増となるようだ。
2-6. シリンダーの錆は取れず…
実はシリンダーに錆があって、追加で10~20往復ホーニングするもほぼ変化なし。
「こういった錆は古い車両には自然と出てくる」...ってどっかで読んだけど、
定期的に走っている私の92年式バリオスのシリンダーには全く錆がなかった。
このヤフオク入手のシリンダーは放置されていた物なんだろう。
こちらはメタルクリーンαに漬けていた時に出来た 'まだら模様' の錆。
爪でなぞっても凹凸を感じないレベルなのでこのまま使おうと思ったけど、
22万km以上使用したシリンダーの方が摩耗が少なかったので結局このシリンダーは使わず。
3. シリンダーホーニング作業完了
4つのシリンダーに同じ作業を繰り返して完了。 手でペーパーを走らせるのと違って作業は楽。
写真はフラッシュのせいでクロスハッチの線が大げさに見えてます。実際はもっとさりげない。
失敗ホーニング
本番前にジャンクシリンダーで練習、失敗しました。
ドリルの回転を落としすぎたり、往復が速すぎると、線がきつい角度で入ってしまう。もはや縦傷。
あまり繊細な作業でもないんですが、一度練習して感覚を掴むと良いです。
塩ビパイプなんかを練習台にしてみてはどうだろう?