『シリンダー、ピストンの着脱』 KAWASAKIバリオスのメンテナンス

シリンダー、ピストンの着脱


腰上OH(オーバーホール)の際の作業。

ピストンリングコンプレッサーを使用してピストンを挿入。

関連:
 シリンダーヘッドの外し方
 腰上のオーバーホール (1/2)
 腰上のオーバーホール (2/2)

※ 整備はサービスマニュアルに頼らずやっているので参考程度にご覧ください。


広告

インデックス

1. シリンダーを外す
2. ピストンを外す
   2-1. 止め輪を外す
   2-2. コンロッドから分離
   2-3. 17万km OHしなかったピストン
3. ピストンを装着する
4. シリンダーを装着する
   4-1. シリンダーのガスケット再使用
   4-2. ピストン挿入



1. シリンダーを外す


シリンダーは引っ張るだけで外せます。

事前に潤滑、ピストンの頭を親指で押し下げながらシリンダーを持ち上げる と抜き取りがスムーズ。

だから 1,4番上死点で作業すべし。



ノックピンは丸のところ。 後方 2箇所。



途中、クランクケースの角でピストンが傷付いてしまわないよう布を噛ませる。

あとはシリンダーを抜き取って完了。



2. ピストンを外す

2-1. 止め輪を外す


シリンダーが外れたら次はピストン。
ピストンはピストンピンを抜けばコンロッドから分離できます。

まずC型の止め輪を外す。
止め輪の開いた口を(-)ドライバーで外せる位置までずらす...



外せる位置まで持ってきたら、
(-)ドライバーでテコを利かせて手前に持ってくると止め輪が外せる。

実際は 止め輪が飛んでいかないよう親指で覆いながらやる。



2-2. コンロッドから分離


止め輪を外したら ピストンピンを "止め輪を外さなかった側" から押し出す。
簡単にすぽっと外れたりはしません。 きつきつです。


この時は(-)ドライバーを使って押し出したんですが割り箸のような軟らかいものでやった方が安全ですね。
抜けにくい場合はドライヤーなどでピストンを膨張させてから挑戦すると抜けやすいはず。
ピストンピンプーラーという工具もあります。



1,4番が外し終わったらパルシングローターのボルトを180°回して(クランクを180°回して)2,3番ピストンも同様に。

外した部品は何番ピストンの部品だったか分かるようにしっかり管理。



2-3. 17万km OHしなかったピストン


ちなみに 17万mk以上オーバーホールせず走ってたピストン はこんな感じ。
この縦傷はまあ、とくに問題無いでしょう。



それより オイルリングがまるで汚い中華料理店の換気扇!

汚れで目詰まり! まさか自分のバイクがこんな状態になっていたとは…。

これでも煙をモクモク出すことはなく走れていたからね。


(清掃は 腰上のオーバーホール (1/2)にて。)



3. ピストンを装着する


ピストンピンは潤滑して入れる。 止め輪は新品に換えたほうが良いらしいが再使用した。
止め輪をはめるときにミスって落としたり、飛ばしたりすると厄介なので注意!


止め輪のはめ方:
1. 止め輪の端を溝にセット。
2. 浮いてしまわないよう親指で押さえる。
3. (-)ドライバーを挿し入れ、起こす。

止め輪が縮み、スルッとドライバーを滑って溝に入ります。 潤滑しておくとスムーズ。



止め輪が入ったら走行中外れてしまわないよう、
口の部分は下ではなく、横などにずらすことを忘れず。



4. シリンダーを装着する

4-1. シリンダーのガスケット再使用


ベースガスケットの合わせ面に残った液体ガスケットはスクレイパーで綺麗に。



シリンダーベースガスケット。
ここはオイルをシールしてるだけなのでヘッドガスケットほどシビアじゃない。

普通は交換でしょうが再使用する。

ベースガスケットにシリコンガスケットをまんべんなく塗り広げたらクランクケース側にセット。



4-2. ピストン挿入


ピストンリングはシリンダーより径が大きいのでそのままでは入りません。
そこで "ピストンリングコンプレッサー"。 Cの形状をしたピストンリング押し縮めてから挿入する。



ではピストンをシリンダーに装着していきます。 といってもジャンクエンジンで練習。

自作ピストンリングコンプレッサーを装着!

ピストン周囲とシリンダーにオイルを塗って潤滑しておく。



まずは1,4番のピストンを上死点。

ピストンをシリンダー入り口にセット、ぐいぐいっと押し込んでいくと結構簡単に入った。

ピストンの首が傾いていたので入り辛い場面があったがピストンの下からスカートの部分を手で押し込むと問題なく挿入できた。



1,4番を上死点で入れた後、クランクを回して2,3番ピストンを上に。 それをシリンダー入り口にぐら付きの無いようセット。

シリンダーを押さえ付けつつ、さらに2,3番を押し上げると自作コンプレッサーがガッと外れる音が。
下から覗き込むとピストンはシリンダーに収まってる。

ピストンリングコンプレッサーとタイラップを下の隙間から外して、シリンダーを押し込んで成功!




何度か練習する中で、挿入前にコンプレッサーが外れるハプニング などがありましたが、

手でリングを縮めて入れることで修正が効きます。

何ならピストンリングコンプレッサー無し、手だけで何とかなったりします。



本番。 練習から1年、感覚が鈍っていたのでちょっと苦戦した。

素手で作業したから指切っちゃたり…。 ま、何とか完了!


広告

関連:
 シリンダーヘッドの着脱
 腰上のオーバーホール (1/2)
 腰上のオーバーホール (2/2)

↑ PAGE TOP